■第1回 全国町家再生交流会 ご案内
人に優しく持続可能な社会を象徴する「京町家」が注目され、日本中でブームを巻き起こしています。京町家特集がいろいろな雑誌の誌面を飾り、書店店頭には「京町家」が入ったタイトルの本が溢れ、京町家関連のテレビ番組も盛んです。 これは真にブームであり、残念ながら私たち京町家再生研究会、京町家ネットとして長年にわたって目指してきたものとはいえません。私たちの主張とは次元の違った、骨董趣味、懐古趣味を商業価値に置き換えた一過性の社会現象に過ぎません。つい最近まで「土地に残っている解体費の必要な古家」として敬遠されたものが、いつの間にか「憧れの京町家」に変身し、不動産業者も「京町家なら何でも、買い」と明言しています。職住一体の伝統的都市住宅である京町家が、ただ商業目的のためだけで、飲食や物販店舗へ利用されているのが京町家ブームの実態といっても過言でないでしょう。 この町家ブームは独り京都でのみ見られるもので、殆どの都市の中心市街地にある木造町家の空家化が加速度的に進んでおり、地元商店街の低迷と相俟って地域の空洞化が深刻な事態を招いています。極端なブームと衰退、この二つは全く相反する現象に映りますが、その背景にあるのものは、独自の歴史を伝える地域の生活・文化の喪失に他なりません。 こうした状況を鋭敏に捉え、文化資産としての町家の再生・活性化を軸に地域独自の歴史と文化を掘り起こし、再創造していく「新たなまちづくり」が各地で多様に展開しています。これらの活動の主体はNPO法人、任意グループの他にも、職能団体、行政等様々です。環境の違いによって抱える問題点、活動方法にも多様ですが、ストックを活かした都市再生が注目される今、活発な意見交換の場が求められているのではないでしょうか。 私たち京町家ネットでは、今年6月、全国の仲間に京都に集まっていただき、町家保全・再生、活性化に関する全国協議の場をもつことにしました。京町家ネットの長年にわたる活動実績やシステムを全国の仲間に伝え、こうした運動が全国に拡大普及していくことを図るとともに、全国各地の示唆に富んだ多くの事例を学びあいたいと思います。真摯な交流を通じて共通認識を深め、それぞれの活動にフィードバックできる実り多い研鑚の場での協働を、京町家ネットから全国の仲間に呼びかけます。 開催日 平成17(2005)年6月11日(土)、12日(日)
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