虫籠窓を復元し、地蔵盆の場にふさわしい町家に ─上京区・Yh邸![]() 設計・内田康博建築研究所/施工・山内工務店 ◎経緯
◎改修のポイント この町家は中立売通を千本通りから西へ向かって程なく南面して建ち、ツシ2階の背の低さと立地から築150年程とみられる。構造体の歪みをみると、大黒柱から奥の柱が45〜52ミリ下がり、建物全体が鴨居レベルで22〜72ミリ西へ倒れていた。その他、トオリニワの合板の腰壁に隠された土壁の足元はおおきく崩れ、柱の根元は蟻害がみられた。2階の中の間の合板天井の裏では母屋が継ぎ手で大きく下がり、瓦が波打っていた。町家の壁や天井を合板で覆い隠すことの害を改めて実感させられた。 両隣の建物との間の雨仕舞の板金の様子を見ながら揚げ前、歪み突きにより構造体の歪みを直し、傷んだ柱の根元は根継ぎを施し、下がった母屋には補強梁を添えた。それに伴い1階の壁は塗り直すことになったが、ツシ2階の中塗り仕舞の土壁は部分補修と埃落しで済んでいる。 ツシ2階の低い窓の両側には壁の裏側に虫籠窓が残されていた。Yh夫妻のご希望で、それを元に窓の部分の虫籠窓も復元し、内側に引き違い窓を新設した。ツシ2階は物置とされていたが、屋根なりに杉板の天井を張り、床も新たに板張りとして居室とし、2階中の間に低く張られた天井と壁の合板を撤去して同じく杉板の天井を張り上げることで広々とした空間となった。瓦を葺きかえるのに合わせてトップライトを増やし、より明るい空間としている。 ◎地蔵盆の場として
内田康博(作事組理事)
2008.3.1 |