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京町家改修見学会

工事名  布澤邸改修工事(注 施主様の承諾を得て、苗字を記載させてもらいました)
日時   H15年4月6日(日) 13時〜
設計担当 (株)NOM建築設計室
工事担当 (株)熊倉工務店


梶山氏より全般説明


また1つ、油小路に町家風情がよみがえりました。
布澤様ご夫妻は、当時マンションにお住まいでしたが、実家であるご両親のお住まいの町家を復元して住みたいと、1年前に作事組事務所に相談に来られました。
ご夫妻の町家への強い思いを聞き、調査が始まり、着工となりました。
 主屋棟は明治初期の建物で、現当主が50年前に購入され、その時「熊倉工務店」で補強改修をした経緯があり、奇しくも今回も「熊倉工務店」が受け持つ事になりました。
 不陸(水平)や「ゆがみ」が激しく、特に水廻りと平屋の土台廻りは軸組の腐食もあり、揚げ前やイガミ突き等構造補強に時間を要したが、その結果火袋の斜材も撤去されすっきりと伸びやかな空間が甦りました。ファサードの「虫子窓」・「出格子」等の復元、ベニヤ等でリフォームしてあった室内の壁をはがすと、土壁や梁が半世紀ぶりに大気にふれ、今まで閉じ込められていた「空気」が一気に吹き出し、建物が大きく深呼吸をし、心臓に新たなるエネルギー通い始めたようでした。
 見学会には多数(50余名)の参加があり、見学者は息を吹き返した「古建具」や「畳」また「灰汁洗いされた木部」にも興味をもたれ、各専門職の説明で、改修前の写真や図面と見比べ「感心」したり、「懐かしんだり」の様子でした。
またご夫妻が苦労して、探してこられた「古風照明器具」も何の違和感なく、納まっており、住まい手も「改修に参加(協力)」した熱意が、各専門職に通じ、それが出来映えに反映されているのがよく分かります。しかし一方でそれが予算以上の工事高につながった事は否めないだろうと思います。
しかし未完成の部分をあえて残し、施主様がゆっくりと完成に向けて、工夫し、磨きを掛け、数年掛けて実質的に自分達の住まいになる事であろう。

施工担当 作事組理事 (株)熊倉工務店 中西 勲