土葺き 【Tuchibuki】 【Dobuki】 「すべらない話」
 足にツッコまれ、かかとに落とされ。靴がしゃべったらきっとおもろい事を言うと思う。かといってそんなあしもとを見られても困る。祭りの男衆や高所作業の職人のあしもとは地下足袋(じかたび)といって、下着である足袋(たび)を直(じか)で履ける様にしたもの。底面はゴム製で足首からふくらはぎあたりまで、こはぜという金具で固定する軽い履き物である。親指と人差し指で二股にわかれ、つま先に力が入れやすい。重い土、瓦を肩に担ぎ、丸くへこんだ水平でもない場所で、自分が施工した物を割らないように乗って仕事をする。慣れない者は常は使わぬ筋肉に、後でみがいく。手わざをうまくこなすには、まずは腰が大事といわれるが、その腰を安定させる為、職人は足わざをきかせている。その時、この地下足袋がものをいう。このすべらない話、私のひざが笑ってしまった。 撮影:堀 宏道

「土葺き」
  阪神震災以来滅多に見られなくなった、めずらしい土葺きの施工です。最近はアルミ製のはしごで、自動で瓦をあげるウインチを使う事が多いが、今回は昔ながらの人力で土をあげる。このような重労働を最近の若い職人はいやがり、土葺きをする職人自体、数少無くなってきている、と嘆く親方。屋根じまい、雨じまい は時には大工、板金屋とも打ち合わせが必要。
 大屋根まで作事組副理事 荒木会長の監修が入る。
瓦師    西出豊蔵    姫路秀次    西原一晃 メモ
地下足袋は、ゴム底を波状につけるという足袋製造業者である石橋徳次郎の発想。徳次郎の弟であり、日本足袋の経営者であった石橋正二郎が、ゴム製造からタイヤ製造へ創業したのが(石橋ストーン、ブリッジ)で有名なブリヂストンである。
平成23年3月
京都市上京区大宮丸太町 
松庵にて       
監修 京町家作事組
設計 冨家建築設計
施工 アラキ工務店