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京町家作事組
第53号(2012年2月)

◎1月の報告

13日(金) 理事会
15日(日) 釜座町町内会 新年会
27日(金)
理事会

◎2月の予定

1日(水) 棟梁塾17「初歩的な茶の湯の用語と作法」
5日(日) 棟梁塾実習「お茶会」
10日(金) 理事会
15日(水) 棟梁塾18「堂宮、各部の意匠と意味、納まり」
24日(金)
理事会

[釜座町町内会 新年会]
 1月15日(日)午前11時30分から、恒例の釜座町町内会の新年会が開催され、作事組も町内会の一員としてお招きいただき、梶山理事長、木下理事、内田理事が参加させていただきました。会場は一筋南の六角通り、「瓢樹」で、純和風の建物と遣り水の流れる庭が美しくしつらえられた料亭です。町内から4,50名ほど参加され、和やかな雰囲気の中、会食に先立ち、木下理事から、新装なった釜座町の町家で、町内会と京町家ネットの活動が昨年一年間を通じてつつがなく進めることができたことについて報告と感謝の言葉があり、町内のみなさまからも大変喜んでいるとのコメントをいただきました。今年一年、町内仲良く、ますます盛んに活動してゆくことを祈念して乾杯し、おいしいお食事をいただきながらの新春の楽しいひとときとなりました。
(設計担当理事 内田康博)

[作事組全国協議会]

前回の作全協総会の様子
 作事組全国協議会では、全国各地の参加団体で、今年の3月末を目処に、それぞれ地域に根ざした町家について「伝統木造町家の性能標準表」をまとめる作業を進めています。姫路からはこれを機会に、地域の町家の詳細を調査検討する委員会を立ちあげ、民間の大工さん、職人さん、設計者だけでなく、市役所の担当部署からも参加者を得て、活動を進めるとの連絡がありました。2月19日には京都に視察に来られる予定とのこと。地域間の交流と協力を進めるなかで、お互いにとって良い刺激になることと思います。
(設計担当理事 内田康博)


[ある物件の相談・調査・提案までの流れ]

相談はこんなふうに始まりました
 昨年のお盆前、理事会の後、例によって事務局ミセの間で涼みながらビールを飲んでおりました。週末の夜の三条通りは夜更けまで人通りが絶えず、格子越しに覗き込んで行かれる人も多い所です。そんななか、町家の前を通り過ぎ、再び戻って興味深げに作事組の看板を確かめるお二人がありました。若手大工がフットワーク良くオモテに出て見学の案内を申し出ます。先方もほろ酔い加減のご夫婦連れ。夜なべをしていた事務局スタッフも出てきて、建物のご案内。お話によると関東圏にお住まいで、以前から作事組の存在はホームページ等を見てご存知だったそう。作事組の取り組みをご説明すると、ご主人のご実家の京町家について、改めて相談したいとのこと。果たして月末には、メールでの正式なご連絡と、ご実家の間取図が届きました。

見学の大切さ
11月に法事で再び京都に戻られたご夫婦を、ご実家に訪ねました。事前に伺っていた改修のご要望と、その場で判る範囲の建物状況への所見をもとに、これまでの事例から想定できる工事金額の目処をお伝えします。技術的な裏付けと併せて、町家の存続をミッションとして町家改修を生業としていることをご理解頂けるよう、努めなければなりません。そのためにも、先行事例の見学と、詳細な実測調査の必要を申し出ました。

表に見えない傷みも調査します
 年を越して1月、奥様に京都までご足労頂きました。一日目は見学です。案件は大きな表屋造りで、表の賃借も活用の条件です。そこで、建物規模や条件が近い、作事組の旧事務局と京町家再生研究会の本部とを見学に訪ねました。それぞれ、大家さんと再生研事務局長からお話を伺うこともできました。技術者とは異なる立場からの町家のお話は、別の力添えになるかもしれません。LDKの改修もご希望ですので、元の姿に戻しながら快適に改修できた例もご案内します。出来るだけ歩いて事例を巡り、見学先以外の改修例も外からご覧頂きました。図らずも、自転車に乗る別のお施主さんや、仕事中の作事組の職人さんに出会うこともありました。

調査・提案・概算まで

屋根に上がって調査

柱に刻まれた家族の思い出
二日目は一日がかりで調査・実測です。大店は、一列三室型の町家に比して、4倍以上のボリュームがあります。設計者は矩計まで含めた実測を、大工はレベルとイガミ、床下や小屋裏の調査、と手分けします。お互い声を掛け合って情報を共有します。この段階で、望まれる改修に加え、必要とされる改修が概ね把握できます。今回は、ゲンカンニワの石畳の下で排水管の漏れが見つかり、ややおおごとです。蔵と二階で重量鉄骨の補強の跡もわかりました。昼休みには、お隣りの洋食屋さんを紹介いただきました。午後からは瓦屋さんも調査に加わります。夕方に奥様に所見をお伝えし、現況図、提案図、概算見積もりの作業に向かいます。概算と言っても、ほとんどの場合は実際に拾い出しができるくらいまで想定し、金額を入れます。歩掛の予算提示で信頼がもらえるほど甘くはない時代です。同時にオモテの活用についても、京町家情報センターの協力を頼みました。ここから先は、相談者のご検討を待ち、ご依頼に応じて検討を進めることになります。
(設計担当理事 末川協)

工事実績: 175件
相談件数: 463件
('99年〜'12年1月31日現在累計)