• 京町家net ホーム
  • サイトマップ
  • アクセス・お問い合わせ
京町家作事組
第76号(2014年1月)

◎12月の報告

4日(水) 棟梁塾 座学14「茶の湯」
8日(日) 釜座町町家大掃除 改修現場見学会
13日(金) 理事会
15日(日) 平成25年度第1回臨時総会
作事組・棟梁塾冬期研修会
棟梁塾 実習12「お茶会」

◎1月の予定

10日(金) 理事会
15日(水) 棟梁塾 座学15「家具、漆」
17日(金) 作事組・情報センター合同研修会
19日(日) 棟梁塾 実習13「漆塗り」
24日(金) 理事会
25(土)、
26日(日)
掘り出し物市

[2014 年始ご挨拶]

 あけましておめでとうございます。

 昨年も自然災害に見舞われた1年でした。「天災は忘れたころにやってくる」と寺田寅彦は言ってないようですが、天災は人間が作り出す。文明が災害を大きくする。という趣旨のことは言っています。災害が起こりそうなところに被害を受けるようなものを作って災害を招いているとも言っています。確かに横穴住居や高台の竪穴住居であれば何の災厄もなさそうです。とはいうものの穴居に戻ろうとの主張は意味がない―中国の黄土高原では健在でも―。文明の要求と自然災害のせめぎあいの連続の中で最適な場所、素材、形の住まいが、改良を続け代々伝えられたのが伝統の住まいすなわち町家です。そして、いまだに寺田寅彦が頻繁に参照されることが、伝統・町家が過去の物語ではなく現代のそして未来の課題でもあることの証拠です。彼が科学盲信(伝統軽視)に警鐘を鳴らしたころは近代西洋科学がまだ駆け出しでした。耳を澄ませば方針転換ないしはより慎重に進めることができたように思うのですが、その後は彼の予言した不幸な結果を立証し続けています。

 当たり前に思えることを当たり前にすることがいかに大変かは、社会的矛盾や不条理として日常茶飯に耳にし目にするところではあるものの、徒労感ややりきれなさを感じることもあります。昨年11月の臼杵で開催した全国町家再生交流会における、周辺地域を含めた活動紹介のパネルディスカッションで、パネラーから私たちはまちづくり活動の第2世代、第3世代ですとの発言がありましたが、一度形作られたことを転換することは、世代を超えた努力が求められるほどに大変なことなのでしょう。当たり前にしたい技、形やしくみのありようを地道に実践していって、ふと気づいた時にいつの間にか当たり前になっているということかもしれません。“次代のために”と始めた初心に帰って粘り強く。

 その際に職人気質の裏付けとなる信念や考え方が必要だと思います。寺田寅彦が時代の趨勢や喧騒に惑わされず、自然とのかかわり方や社会のありようの底にあるものを見続けたように。それを我々に引き移せば自然に沿った見方ややり方、後先を考えた代々続けていけるやり方等々でしょうが、その内容はそれぞれでよいし、それぞれがそれを持ってやってきたことです。ただ作事組の活動の方向を見定め、運動の訴求力を高めるためにはそのすり合わせが必要になります。その作業のための見つめなおしを年の初めにお願いします。

 本年も協力のほどよろしくお願いします。

(代表理事 梶山秀一郎)

工事実績: 200件
相談件数: 529件
('99年〜'13年12月31日現在累計)