◎6月の報告
◎7月の予定
[シンガポールからの見学者]
釜座町町家の見学、釜座町改修ビデオの視聴そして作事組の活動趣旨の話をした。町家が日本の気候風土に適応した建築であり、このような作り方でないと持続的に通用しないこと。懐かしみや歴史文化遺産だから残すのではなく、いまだ有用で実用として守っていこうとしていることを中心に話をしたが、学生たちはメモを取りながら熱心に聴いていた。聞いたところによると、シンガポールにはショップハウスと呼ばれる町家が多く残っていて、国を挙げて保全再生に取り組んでいるとのことで、この共同研究の費用は日本側の分を含め、シンガポール政府が丸抱えとのこと。質問では土壁の機能に関するものがあったが、シンガポール大の学生には町家を肌で感じてもらうため、在日中は山中油店の出水の町家に逗留してもらっているとのこと。 その後、移動して神泉苑の改修現場を見学した。大工の辻さんから狂言舞台の構成や浸水のため建物を全体に揚げていること、根継などの工法は伝統の技で行っていること、そして自分たちは伝統の技から多くのものを学びながら仕事をしている、などの話がなされた。 見学後に先生から日本の学生に聞かせたかったこと、伝統の技を担う職人さんが尊敬されているとの感想をうかがった―シンガポールではそうでないということか―。後にネットで調べたことだが、超高層ビルをアイストップに2階建や3階建の町家が、手入れをされてショップや住まいとして使われ、ファサードのデザインはさまざまながら、時代の様式で統一された街並みが1軒も欠けることなく残っている。学ぶべきはこちらかもしれない。 (作事組監事 梶山 秀一郎)
[運営委員会が発足しました] この6月より、京町家作事組の全社員が集まり議論する場として、設計や施工などの課題別に4つの運営委員会を立ち上げました。設立から16年、町家をとりまく社会状況も私達の活動内容も、様々な変化を遂げました。設立時に掲げた志を再確認しつつ、私達こそが実現できる町家本来の改修を実践してゆくために、新たな気持ちで組織運営を見直してまいります。 (事務局 常吉裕子)
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