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京町家作事組
第88号(2015年1月)

◎12月の報告

7日(日) 改修工事中現場見学会
12日(金) 理事会
21日(日) 作事組・棟梁塾冬期研修会

◎1月の予定

9日(金) 理事会
18日(日) 初釜
23日(金) 理事会
24日(土) 掘り出し物市
25日(日)

謹んで新春のお慶びを申し上げます。


釜座町町家
 昨年末12月21日作事組社員一同揃って、冬期研修会に参加し、平成26年度の総括報告会と懇親会をつつがなく終了する事ができました。その際、事務局でまとめられたデータによりますと、昨年に作事組に寄せられた相談件数が39件あったそうです。その内、京都市内の相談件数が35件あり、その全ての案件に理事会から相談員を派遣しています。一方、昨年改修工事を実施した件数は17件あり、一昨年の7件から大幅に増え、相談件数、成立件数共増加傾向にあるとのことです。京町家ネットの諸活動や、当会の広報活動により、漸次着実に作事組の実績が社会に認知され、広まっている事が実感されます。従って釜座町家においての相談受付や、インターネットによる情報提供においても、仕事の成否にかかわらず、社員の皆様が一手間でも多く手をかけ、心の通った対応をさし上げてこそ作事組本来の“つくり手”の気持ちが、社会の人々に伝わっていくのだと考えます。特に昨年の例では、工事に至るまでの心掛けあるいは事前調査の段階ではありますが、重要な物件の相談が重なってきている様に思えます。町家を保存して、生活や生業の器として利活用する方策や、次代に継承するために、作事組に適わしい伝統工法に依る改修法を採用するためには、施主として様々な方面からの比較検討をしたく思われている方が、随分増えてきたからではないかと感じられます。

冬期研修会
 昨年は、京都市景観まちづくりセンターが行う、町家改修セミナーや、専門家講座に講師派遣を行い、京町家再生研究会からの提案で、「京町家再生設計」講座を共催し、作事組の設計施工法の周知活動に努めてきました。それと同時に、作事組の内部では、4委員会をつくり、設計・施工の業務内容や施工価格、品質、業務の機会均等の機構改革について、協議してきました。本年は、その成果を踏まえてさらにレベルアップした実践活動に着手してまいりたいと思います。現在相談中の案件でも、同じ町家であるといっても、江戸時代の石屋さん、或いは珈琲店、明治時代の景観重要建造物の呉服屋、大正時代の大塀造の仕舞多屋、昭和の5軒長屋に、パーマ屋さん等、多様なバリエーションと、興味深い現代的なプログラムに柔軟に対応してゆく能力が要求されています。 社員の皆様の日頃鍛えた技と知恵をベースに、チームワークを大切にして目標の京町家再生に再挑戦する新年にしたいと思います。ご協力の程よろしくお願いいたします。
(作事組理事長 木下龍一)


[改修現場見学会]


見学会 建物東側

見学会 建物西側
 12月7日(日)施主である田中氏の了解を得て、作事組会員で現場見学及び意見交換を行いました。
 設計:冨家建築設計事務所、施行:アラキ工務店で担当している田中邸は、建築年代がおよそ江戸末期頃と推定できる古い建物で、旧市街地ではほとんど残っていない貴重な建物であることが解体調査によりわかりました。
 その建物の特徴は、明治期以降の町家の一般的な形態とは違う点が見られ、興味深い。
 柱は完全な丸柱も使っている箇所もあり、またその上端にはかつて「うだつ」があった形跡もあり母屋勝ではなく柱勝でした。現在は母屋上端で切り落とされています。土壁の一部も古いもので、木舞竹が細いものを半分に割って編んだものが見られます。土の成分も地元の聚楽土が使われています。構造軸組を見ても「蓮台」と言われる構造とは違う組み方をして、明治期以降の構造とはまた違った組み方でした。また数回大規模な増築や改修をしていて、建物西側がより古い時代のものが多く残っており、建物東側ほど改修の形跡が多く見られるという改修履歴のようです。
 現場見学の後は、大工、左官、瓦、設計等各会員より改修方などについて意見交換が交わされました。傷んだ柱の補修方法や、左官の補修補強方法について、瓦の劣化状況や耐久について各職方より意見が交わされ情報の共有ができました。私としても大変勉強になる意見交換でありました。
(作事委員会報告 冨家裕久)

工事実績: 213件
相談件数: 576件
('99年〜'14年12月31日現在累計)