◎6月の報告
◎7月の予定
[第38回全国町並みゼミ豊岡大会]
城崎温泉での第1、第2分科会では、テーマとして大正13年の北但大地震の災害復興で形成された木造3階建ての町並みを保全し、時代に応じた用途に利活用して町の賑わいを創出し、来るべき自然災害から町を守る中でどの様に住民が意思決定をすべきか、歴史的手法から喫緊の課題についての討議がなされた。その中で、今年1月に大火事のあった現場を視察した上で、200棟を数える木造3階建て、既存不適格建築物を有する町並みの健全な維持と活性化を目標に、復興計画を作成中である中貝豊岡市長の発言が市民目線で、建築基準法の適用除外の為の条例を作り、用途変更の煩わしさを改善する必要について言及され、会場の注目を浴びた。 一方、第3、第4分科会は、明治9年大火の後復興された美しい町並みの残る、出石町の芝居小屋「永楽館」と「出石酒造酒蔵」で開かれた。そこでは、江戸時代からの城下町の町割を残し、災害復興された伝統的建造物が数多く保存されながら、土産物や飲食店の看板や店舗装飾が目立つばかりの現状を憂い、歴史的文化的な価値を大切にした町並み保存と、活気ある商業活動の両立を目指して議論が交され、その中で、「永楽館」の復元整備と住民参加の利活用が進めば、更に歴史的建造物への愛着が深まり、都会から観光客や芸能人が訪れたくなる、希望溢れる格好いい町のシンボルとしての役割を果たすであろう事が確認された。 第5分科会は、北但大震災の復興に当たり、近代的都市を目指した豊岡市中心にある、豊岡稽古堂(旧市役所)で行われた。震災復興策として取り入れられた、近代都市計画と近代建築群が数多く残る市中心部を見学し、これらの歴史的建造物の今後の活用の方策や、「文化資産、歴史資産」としての価値を、市民が観光客や訪問客と共に広く認識し、且つ、市中に数多く残る町家や城下町の痕跡を総体として、評価してゆく事の重要さが確認された。 最後に第6分科会が、山を隔てて日本海に臨む竹野町北前館で開かれた。江戸時代の町並みを残し、海水浴場や風光明媚な自然景観や、歴史的建造物が散りばめられた但馬の名所で、近世には北前船による海運業で栄えた港町である。焼杉板貼の民家群の形成する景観の保存を継承し、職人の確保と技術の継承等、その地域固有の町並みを保全してゆく、住民の意識形成と支援策が議論された。 最終日、今回のゼミを通じて討議された内容の総括として、以下の2点を指摘する宣言がなされた。 1 私達は、繰り返し起こる災害に対し、美しい町並みを復興する能力を備えている。来るべき災害への備えは、自然を征服する土木工事とは異なる方法が、模索されなければならない。 2 こうして築いてきた歴史的町並みは、今や地方創生の不可欠な手がかりとなった。しかし、その保存活用には、これまでの価値観を転換する必要がある。都市計画法、建築基準法、文化財保護法、旅館業法等、諸制度は確実に見直される必要がある。 以上、私達は、町並み運動の使命を再確認し、その実現に最大限の努力を傾ける事を宣言する。 第38回全国町並みゼミ 参加者一同 2015年6月8日 (作事組理事長 木下龍一) [大船鉾東京凱旋]
(作事組副理事長 末川 協) [掘土壁&竹木舞ワークショップ報告]
当日は雨にもかかわらず20名程度の参加者が、職人さんたちのレクチャーを真剣に聞きながら、実践に勤しんでおられました。今後もこの現場を教材に、町家の成り立ちを体験できる機会を設けていきたいと考えています。7/11(土)には見学会を行います。 (作事組理事 南 麻衣子)
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