◎9月の報告
◎10月の報告
銅駝美術工芸高校の皆さん 9月〜10月の釜座町町家は、中学、高校、そして国内外の大学から約100名の方が見学にみえました。 北海道教育大学で地域政策を研究している学生さんに現在の北海道の都市住宅の特徴は何かとたずねたところ、とにかく気密性の高さが特徴で、屋外と屋内の気温差が大きいので、夏を旨とする風通しのよい京町家とは対照的で、お座敷の欄間や建具の透かし彫りにみられる景色とか、土壁の風合いがめずらしいと仰っていました。北海道の街なかの家の建具に歩く北キツネやエゾシマリスの透かし彫りがあったら買ってしまうかもしれないと思いました。 松原中学校からも総合学習の伝統文化教育で京町家を深く学びたいというご意向を受け、28名の生徒さんに見学して頂きました。建物の中に入ったときに木と畳の匂いにぱっと反応があり、それが日常になっているこちらも新鮮な気持ちになりました。幕末の出来事をリアルに感じられるよう、当時焼け残った瓦をみてもらったりしながら、案内役の末川さんが学校で習う歴史的な事柄と現在ある生活空間としての町家が頭の中で結びつくようにお話しされ、最前列正面の生徒さんが、ずっとにこにこうなずきながら聴いてくれていました。自由見学の時間には、女子が1階のミセで昭和の家族ごっこ?をしている間、男子は2階のツシを秘密基地にして遊んでいました。 銅駝美術工芸高校の皆さんは、染色や陶芸やデザイン等を学んでいて、町家のなかにある伝統美や信仰心、使われている素材や綺麗さびという概念などに興味をもって来られました。その探究心をシンプルな町家ですべてお見せすることはできませんでしたので、案内役の末川さんと本や辞典やお話しをまじえてお答えさせていただきました。毎年訪ねてこられるのを楽しみにしています。 体験講座@「町家竣工見学会」 体験講座@「町家竣工見学会」 10月15日(日)、東山三条の町家にて第1回目京町家体験講座として、竣工見学会を行いました。町家にお住まいの方やこれから町家に住みたいとお考えの方、建築設計や不動産業の方々など31名の方にご参加いただきました。1階のお座敷にて設計担当の末川さんより建物の来歴と改修の経緯について説明がありました。施主の山田様の方針は、元あったものを復元して新しいものは加えないこととたいへん明快でした。 1階座敷の北西角柱に蟻害の跡があり、沈んでいたので、大工さんが床下に潜って修繕し、沈みを直し、4Mの松の床板はそのままいかされていました。1階ナカの間は絵を描くスペース、2階は貸ギャラリーとして使われるので、1階の座敷は、ご家族のプライベートな日常生活の場として快適さが求められます。掘りごたつを復元し、寒い冬も庭の景色をみながら暖かく過ごせるようになっています。今後お茶を愉しみたいというお母様のご希望もあり、炉を切ってこたつと炉が共存しています。それについてはセオリーと違うという意見もいただきましたが、ギャラリー経営と住生活の充実をはかっての選択ということでご理解いただければと思います。芸術大学を修了し、まもなくギャラリー経営をはじめるお嬢さんが、本物にこだわって選んだ素材も元々使われていた材料と調和して建物の風格を感じさせてくれます。 体験講座A『京都新町まちあるき」 京町家作事組事務局 森珠恵
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