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京町家作事組
第117号(2017年11月号)

◎9月の報告

3日(日) 京町家新条例に向けてシンポジウム
4日(月) 役員会
8日(金) 理事会
11日(月) 北海道教育大学地域政策専攻生 見学来訪
20日(水) 京都アメリカ大学コンソーシアム KCJS 同志社大学来訪
22日(金) 鷹山復興木部ワーキング部会
22日(金) 「京都市歴史的建築物保存及び活用条例」講習会A耐震診断

◎10月の報告

13日(金) 理事会
15日(日) 京町家体験講座 第1回「東山三条の町家竣工見学会」
19日(木) 京都造形芸術大学 見学来訪
20日(金) 京都市立松原中学校 見学来訪
22日(日) 斧屋法要
27日(金) 京都市立銅駝美術工芸高校 見学来訪
27日(金) 理事会
28日(土) U邸構造見学会
28日(土) 再生研主催 京町家の改修設計基礎講座 第1回「設計者の役割」



銅駝美術工芸高校の皆さん
[ 釜座町町家の見学 ]
 9月〜10月の釜座町町家は、中学、高校、そして国内外の大学から約100名の方が見学にみえました。
 北海道教育大学で地域政策を研究している学生さんに現在の北海道の都市住宅の特徴は何かとたずねたところ、とにかく気密性の高さが特徴で、屋外と屋内の気温差が大きいので、夏を旨とする風通しのよい京町家とは対照的で、お座敷の欄間や建具の透かし彫りにみられる景色とか、土壁の風合いがめずらしいと仰っていました。北海道の街なかの家の建具に歩く北キツネやエゾシマリスの透かし彫りがあったら買ってしまうかもしれないと思いました。
 松原中学校からも総合学習の伝統文化教育で京町家を深く学びたいというご意向を受け、28名の生徒さんに見学して頂きました。建物の中に入ったときに木と畳の匂いにぱっと反応があり、それが日常になっているこちらも新鮮な気持ちになりました。幕末の出来事をリアルに感じられるよう、当時焼け残った瓦をみてもらったりしながら、案内役の末川さんが学校で習う歴史的な事柄と現在ある生活空間としての町家が頭の中で結びつくようにお話しされ、最前列正面の生徒さんが、ずっとにこにこうなずきながら聴いてくれていました。自由見学の時間には、女子が1階のミセで昭和の家族ごっこ?をしている間、男子は2階のツシを秘密基地にして遊んでいました。
 銅駝美術工芸高校の皆さんは、染色や陶芸やデザイン等を学んでいて、町家のなかにある伝統美や信仰心、使われている素材や綺麗さびという概念などに興味をもって来られました。その探究心をシンプルな町家ですべてお見せすることはできませんでしたので、案内役の末川さんと本や辞典やお話しをまじえてお答えさせていただきました。毎年訪ねてこられるのを楽しみにしています。




体験講座@「町家竣工見学会」

体験講座@「町家竣工見学会」
[ 京町家体験講座 ]
 10月15日(日)、東山三条の町家にて第1回目京町家体験講座として、竣工見学会を行いました。町家にお住まいの方やこれから町家に住みたいとお考えの方、建築設計や不動産業の方々など31名の方にご参加いただきました。1階のお座敷にて設計担当の末川さんより建物の来歴と改修の経緯について説明がありました。施主の山田様の方針は、元あったものを復元して新しいものは加えないこととたいへん明快でした。
 1階座敷の北西角柱に蟻害の跡があり、沈んでいたので、大工さんが床下に潜って修繕し、沈みを直し、4Mの松の床板はそのままいかされていました。1階ナカの間は絵を描くスペース、2階は貸ギャラリーとして使われるので、1階の座敷は、ご家族のプライベートな日常生活の場として快適さが求められます。掘りごたつを復元し、寒い冬も庭の景色をみながら暖かく過ごせるようになっています。今後お茶を愉しみたいというお母様のご希望もあり、炉を切ってこたつと炉が共存しています。それについてはセオリーと違うという意見もいただきましたが、ギャラリー経営と住生活の充実をはかっての選択ということでご理解いただければと思います。芸術大学を修了し、まもなくギャラリー経営をはじめるお嬢さんが、本物にこだわって選んだ素材も元々使われていた材料と調和して建物の風格を感じさせてくれます。

体験講座A『京都新町まちあるき」
 体験講座の第2回目は11月3日(金祝)文化の日、新町通りのまち歩きに20名の方が参加されました。集合場所の西本願寺の総門前には、2010年から2011年にかけて作事組が改修工事のお手伝いをさせていただいた山本亀太郎商店があり、中に招き入れてくださいました。正面通と堀川通に面した角のステンドグラスがいつ見ても綺麗で、ガラス張りの明るい店舗の上に重厚感のある墨色の外壁の醸し出す気品が素晴らしいです。正面通りを東へ進み、西洞院通を上り、花屋町通へ入ると町家が目立ってきます。新町通に入ってすぐ、前・作事組事務局の大岡邸があります。表屋造りの奥の深い町家で、赤みの強いべんがら格子と珍しいほど大きな万十軒瓦が特徴的です。新花屋町通を東へ進み、東本願寺の塀をみながら烏丸通まで行き、赤い壁の八木仏具店が見えます。室町通りへ戻り、五条通の手前まで来ると、前々・作事組事務局の田中家があり、充さんとお子さんがパネルを持って説明し、玄関の大戸や通り庭の大きな火袋をみせてくださいました。大工の大下さんがはじめて長屋の構造改修にとりくんだOg邸やいつもお世話になっているごはん処矢尾定さん、今年4月に竣工した大船鉾町会所、京都市で初めて景観重要建造物の指定を受けた小島家、無名舎などを詳しく見ながら更に歩いて、いま改修設計相談中の町家の前に来ました。表格子の復元や内装の改修を計画しているお施主様も案内人も実現を楽しみにしているところです。最後に釜座町町家を見学していただき、意見交換を行いました。もっと積極的に発信をしていくべき!と激励の言葉もいただきました。周辺に配慮し、また新たな建築に参照されながら大切に住み継がれてきた町家を一軒ずつ見学し、長い時間のなかで形成されてきた町並の魅力を感じていただけたと思います。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

京町家作事組事務局 森珠恵







作事組活動実績
■ 工事中・設計中案件:3件
■ 相談中案件:7件
('17年10月末)