◎11月の報告
[ 新年のご挨拶 ]
今年は、京町家作事組が発足して20周年を迎えます。京町家再生研究会を母体として、町家の健全な改修を実践する伝統木造建築の専門家集団として作事組が生まれ、施主である京町家居住者や京町家友の会のご支援をうけ、現在までおよそ250棟の改修工事を達成してきました。その中には、通りに面した様ざまな生業の店舗、工房付住宅から、路地奥の連棟長屋に至るまで、多様な建築がありました。また、京都市や国あるいは、京都市民が残すべきとする京都を彩る建物や景観重要建造物、指定を受けた伝統的建造物、歴史的意匠建造物、界隈景観建造物や、登録有形文化財も含まれています。祇園祭山鉾地区の町会所や、未指定の文化財建造物や、中心部を離れた伝統的和風住宅等も改修してきました。時間と手間暇のかかる土蔵や醸造所の修復も記憶に残る仕事でした。再生研の「調査研究」に支えられながら、京町家居住者である友の会会員からの叱咤激励、情報センターとの協働を糧に、一軒一軒の町家再生から、町家の複数存続する町内や、地域再生への視点を大切にし、一歩ずつ実績を積み重ねて来ました。昨年に施行が始まった「京町家の保全と継承に関する条例」に対しては、京町家ネットの共同性をバネにして、条例を推進する市民活動団体に登録させていただき、対象町家の再生計画に積極的に貢献する活動をして参りたいと考えています。本年こそは、作事組結成時の初心に戻り、社員一同、心を一つにして、社会にアピールできる活動を展開してまいりたいと思います。新しい状況の中、多忙をのり越え、精一杯のご協力をお願いいたします。 2019年1月1日 京町家作事組 理事長 木下龍一 [ 宮城県立工業高校修学旅行 町家研修 ]
[ 冬期研修会 ]
懇親会は北村伝兵衛さんの旧居を活用した大傳月軒で中華料理を楽しみました。その後は祗園石塀小路の蔵を利用したワインバーへ。つい最近土壁にアールをつけ曲面を作られたばかりだそうで、大阪の赤土の色味を加えた暖かみのあるオレンジ色と柔らかな雰囲気を醸し出していました。お店を出て石塀小路の石畳の下に新しい水道管を敷設するのに行政とタフな交渉をした過去の歴史が埋めこまれているというお話を聞きました。時の流れと歴史的な街づくりの運動がかみあって息をし続け、夕方に見学した改修現場の中庭のもみじの大きなうねりも日々の活動の魂のよりどころとして増々存在感をはなってくるように思います。 12/22(土)あけびわ路地で、大家さんと店子さんが定期的に開催するイベントに初参加し、山添安紀子先生に習ってのクリスマスリース作りをしました。稲の束を円形に撓めた土台の穂先がダイナミックで、小さいながら和洋を上手に融合する手仕事体験の面白さを味わえる機会となりました。大家さん手作りのスポンジケーキと紅茶、おみやげに冬至の日にちなんだ柚子ピールのシフォンケーキもいただきました。ご主人の育てたレモンも美味しかったです。2階座敷の奥の間の広窓のシフォンカーテンが、明るい色の木製建具に調和してよい感じです。 メディア掲載等のお知らせ 長野県にある新建新聞社のムック本「和Modern vol.11―庭から考える家づくり」(2018年12月18日刊)に作事組で造園を担当している京都景画の木村孝雄さんのインタヴューと釜座町町家ならびに西陣の町家(設計:内田康博建築研究所/施工:山内工務店)の庭が紹介されました。京都の木造住宅が多数取り上げられているほか、モダンデザインの伝統工芸品紹介もあります。岐阜の町家で和傘づくりと技術継承に取り組む河合幹子さんの「傘日和」や、東京都台東区のWASARAが環境負荷を減らすことに知恵をしぼり竹とサトウキビの植物繊維で作った紙の器、有田焼の李荘窯業所の独創的な磁器など見ていて参考になります。ほか作事組にご縁のあった方々から、昨年贈呈していただいた本をご紹介。 ・『福ねこお豆のなるほど京暮らし』山口珠瑛(京町家友の会会員) ・『洛中洛外の鍾馗』『私は瓦鍾馗』服部正実 ・『千頭の象が騒ぐ』 池田進さん ・ 1/18放送のNHK『美の壺』「町家」で作事組の施主様宅が紹介される予定です。 ご覧いただければ幸いです。 (京町家作事組事務局 森珠恵) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
作事組活動実績 ■ 工事実績: 251件 ■ 相談件数: 665件 ('99年〜'18年12月31日現在累計)) |