町家の手入れの仕方─vol.4
堀内 健(作事組理事)
町家にふさわしい暮らしとは
●個室化してプライバシーを守れないか?
町家の間仕切りは、「襖」「障子」「ガラス戸」と言った「ハードドア」ではないので、現状使いではプライバシーを守る事は出来ません。完全に「仕切り壁」を作り、個室にすれば可能ですが、町家特有の「風の流れ」や「自然光」、そして「建具を外せば大広間」の利用が出来なくなります。
現状で、家具の配置や、ついたて、暖簾等の工夫で、直接視線を妨げる方法があり、物音や話声などはお互いを気遣う道徳により解消されますが、少々の事は同じ屋根の下に住んでいる実感がえられて良いのではないでしょうか!
●建物内に駐車場を設けられませんか?
町家は元々ガレージを設ける様な軸組構造で造られておらず、また前面道路も細い道が多く、町家と自動車とは接点が見られませんでした。
昭和40年代徐々に車社会になり、1家に1台の時代を超え、現代の社会生活では切り離せない物になりました。
車1台なら開口部3m以上、奥行き5mの空間を取る事になります。元々大きい桁や梁が入っていれば問題ないのですが、通常柱を抜きスパンをとりますので、「軸組構造補強」等が必要になります。
また室内仕様では、防火対策や排気ガス処理などが必要となりますが、町並み保全の為、ファサードにも一工夫を。具体的には、シャッターや無機質な物より、町家の雰囲気を醸し出すような自然木使い、デザインや色あいへの配慮をお願いします。
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