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町家の手入れの仕方─vol.5

堀内 健(作事組理事) 

手入れと故障の見分け方
●手入れって何ですか 〜 清掃、点検、修理

 昭和30年代後半までは、1年に1回、衛生掃除という大掃除があり、町内そろって畳を上げて床下まで掃除したものでしたが、現在ではこの様な習慣はなくなりました。
 これは町家には、大変良い行事でした。
 普段目にすることのない場所を点検出来、メンテナンスの目安になりました。
 簡単なことは応急処置しておいて、後日専門家に依頼して家を守って来たものです。
 衛生掃除を復活する事は無理ですが、日に1度、家に深呼吸をさせてやってください。
 窓を全開にして空気を入れ換えましょう。
 普段のお掃除も慎重になされていました。畳はほうきで目に沿って、建具の桟はサイハライで「優しく、丁寧に愛情を持って」家と語り合ってお掃除しましょう。
 住まいが語りかけてくれるかもしれません。

●起きやすい故障と見分け方
〇雨漏り
 昔雨降りの日には、家中に洗面器やバケツが並ぶ光景が見られましたが、すぐに修理しなくてもけっこう大丈夫でした。ですが今の家の作り方は、雨が漏っても人目に付きにくく出来ていますので、家で雨漏りを見つけたら、被害が相当深刻なケースが多く早急に修理が必要です。
 テレビアンテナをひっぱっている針金がトユの受け金具にくくりつけてあると、針金につたって水が落ちることがありますから、針金の位置を換えてもらいましょう。
 家には水が大敵ですから、気をつけて下さい。

〇樋つまり
 雨の日に異常に水の流れる音がすると、それはトユが詰まってあふれているか、冬に降った雪のせいで、トユの勾配が変わったり、変形して水がこぼれていることが考えられます。少々のことなら長い棒で突き上げて直すことも出来ますが、場所が場所だけに無理をせず、専門家に修理してもらいましょう。
〇根腐れ・床のゆるみ・床下の湿気
 柱の根本や床下の束(つか)(床を支える柱)が腐朽やシロアリにより傷んでいると、床がぶかぶかしたり、土壁がふくれてきたりします。
 これは床下の通気が完全でないことや、湿気が異常に多いことが原因と考えられます。
 建物の回りに物を置かないで、床下に十分風が通るようにし、雨水や配水が地面にしみていないか確認しましょう。

〇敷居・鴨居の下がり
 部屋の建具の開け閉めがしにくくなった。
 2階に重たい物を載せていませんか。重みで鴨居が下がっています。すぐに荷物を移動してください。すぐには直らないかもしれませんが動くようになるでしょう。

〇配管の漏水
 古い排水管は、土管の場合が多く、経年変化で継ぎ目から水がしみ出ていることがよくあります。
 排水枡を開けて、水の流れを点検してください。また配水管の近くに大きな樹木はありませんか。
 木の根が配水管の中に進入してきて汚物が絡まって、流れにくくなります。

〇その他いろいろ
 土間や通り庭に水シミやひび割れがありませんか? これは雨水が浸入したり排水が漏れているかも。早急に調査してもらいましょう。
 住み手の方は、普段から家の状態をよく観察してください。隙間、シミ、傷、違和感。毎日生活していると、なれてしまって気がつかないことも多いですが、家はしゃべりませんから、こちらから注意してください。

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