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京町家作事組



◎第三期京町家棟梁塾たより 6



座学11 材料
10月6日の座学では荒木塾長より、オリジナルの資料に沿って「職人の心得」、「町家に使われる木材」、「各所の収まり」の講義がありました。すべての項目は技術的に、デザイン的に、また広い意味で無駄を省き、建物を長く手入れできる経済性の点でも統合された内容で、融通無碍に話は広がりました。

「職人の心得」は安易な精神論の話ではなく、敷居を踏むことで終わる大工の仕事納めまでの注意点を10カ条にまとめたもの、塾長が「きまりごと」と呼び慣らわされる項目を大切なものから集めた話です。「町家に使われる木材」は文字通り適材適所のはなし、数値化された強度や外観のデザインだけでなく、耐久性や、耐候性、ねばりやクリープに対する強さ、対磨耗性、くるいや経年変化のことをすべて知った上での材料の使い分けの話です。「各所の収まり」の話では、造作の部分での寸法の追い方、プロポーションの原則、割り付け方、材料同士のとめ方とその順序などの話がありました。構造の部分では、留めるための「込み栓」、引き寄せるための「鼻栓」について町家の部位に応じた使い分けの話がありました。引き寄せて固める「シャチ」はその点で京町家には一般的ではないようです。仕事の上手、下手以前に「きまり」があることを繰り替えされました。


実習6「畳」
17日の実習では東奥畳店を訪ね、畳の材料や道具、寸法調整、仕上のグレードなどについて会員の東奥氏にお話を伺いました。畳の床(とこ)や表(おもて)の材料や製法、品質など、現物を手に取り、ツヤや堅さ、しなり等を確かめながら違いを学びました。最高級は、畳の裏を見ると違いがわかり、手間をかけることで、100年使ってもへたらないように工夫されていることがわかりました。化学製品や紙でできた畳表も商品化されていますが、使うほどにツヤが出て美しくなるのはやはり伝統的な「い草」の畳表とのことでした。


座学12
20日の座学では、材料や道具についてさらにつっこんだ内容と、継ぎ手・仕口について荒木塾長からお話をいただきました。湿度の高い日本の気候のもとでの木材の含水率の変化とそれに伴う材の動きや力の方向などを詳細に読みとり、その性質を活かして建物を組み立てる大工の技の奥深さと、あらゆる細部に込められた工夫を学びました。