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京町家作事組



◎第三期京町家棟梁塾たより 7



1110座学
11月の棟梁塾は庭のシリーズとなりました。 10日の座学では一期卒業生の松浦氏より、島と海に別れる日本庭園の基本的な構成、その中にある12の要素についてわかり易くお話しがありました。庭についての語彙をはじめから学ぶことが出来ました。更に竹垣、灯篭、石の組み方、並べ方、庭木の種類についても解説がありました。庭の見学や庭の歴史を学ぶにも良い導入となりました。樹木についての解説は実践的でもあり、生物学的でもあり、京都で身近に見られる樹木について興味が深まる良い機会となりました。最近の公園樹の流行や安易な剪定についてはプロの目から厳しい評価もありました。


1114庭の見学(秦家)

1114庭の見学(吉田家)
14日の実習では作事組の作庭担当会員の京都景画の木村氏と松浦氏を講師に町家の庭見学に向かいました。秦家では古いものと新しいものが混じりながら、ご家族に慈しまれながら手入れされている庭を見せていただきました。4枚の障子の額縁に切り取られると、同じ庭でまた別の美しさが味わえます。昼食を頂いた矢尾定では、限られたスペースで大小の臼、木賊貼と木賊の対比を活かした庭のつくりを伺いました。吉田家では10年以上かけて材料を集められ、昨年完成したゲンカンニワの供待ちのお話を伺いました。「ニワ」とは居室以外のすべての場所、信仰の表れでもあり、作業の場でもあるそれぞれの庭を吉田先生が町家に戻られてから元に戻し、手入れされてきた顛末をお伺いしました。ナカニワと前栽での陰と陽の使い分け、町家のエンジンルームであるハシリニワの紹介、季節で変わる庭の楽しみと、変わらない景色を守る部分など、見学のごとに別の見地からのお話をいただけます。最後には作事組の新事務局も置かれている釜座町町家を訪ねました。盛況のオープンハウスの中、元からのモチノキを中心に新しくしつらえられた庭のお話を伺いました。取り壊された他の町家から移された瓦や敷石が新しい庭の一部になっていく様では町家の歴史が将来につながります。


1117座学
17日の座学では作事組の顧問でもあり京都林泉協会の佐藤会長から庭の歴史の講義をいただきました。上古より信仰と結びつく日本の庭が、歴史の中で宗教の変遷とともに重層的に作り上げられていく過程を、多くの実例を交えながらお話いただきました。いつもながら明治の町家の庭まで到底たどり着きませんが、日本の庭の世界に底知れぬ奥行きがあることを教わります。自然の景を方寸の世界に取り込み再現する庭が今日の住宅の無国籍の庭と違うことを教わります。
週に3回の集中講義、塾生も庭で頭がいっぱいのよう、身近にある京都の多くの庭を訪ねたいと思いを新たにする塾生も多く見られました。