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京町家作事組



◎第三期京町家棟梁塾たより 9


 お正月休みを経て第三期棟梁塾も再開です。

2月2日建具講義

2月2日沢辺建具社訓
 2月2日には建具の講義が作事組会員の沢辺さんより、その加工場でありました。20種以上の建具材を見せていただき、それぞれに特徴や使い分け、そつの可能性があり、材料確保の責任が建築本体の工事にましてあることも伺いました。その加工の修練に当たり前に目標と努力と時間が要ること、グラフィックなデザインが基本的な建具の合理性を無視しやすいこと、それでもなお、手作業に戻ればたいがいのデザインの実現は可能だと自信を持ってお話を伺いました。町家改修物の中で建具の再生、框の建具の新設が、その技術の再生と直接結びついている実感も伺いました。安価で均質と思われてきた輸入材が、近年、いろんな意味で限界に達し、内地産材の期待に向かうお話もされました。


2月6日表具座学
 6日には、表具担当会員の若林氏の講義がありました。下地の材料、組み方から下張りの過程、糊の着け方、仕上げ張りの種類とグレード、各所の寸法の決まりごと、枠材の種類、金物のピンキリの価格も伺いました。一般の建築工事の範疇では計れない表具の世界と歴史があることをいつもながら教わります。お茶室の建具や張物だけでも決まりごとは数多く、一方普通の町家にもあったはずのしつらえの大切さや、住まい手が普通に出来るお手入れも伺いました。一万円札は世界で一番良い紙、本鳥の子、特一等だそうでこれで障子紙をあつらえればいくらかかることやら。京唐紙の版木刷りの下地でもそこまではなかなかのようです。


2月16日家具座学
 16日の座学は、漆・家具担当会員の建田氏より、家具のお話がありました。一般的な、使い易さからの要求、美的な要求、強度の要求も当然ことです。個人的な使われ方を求められる世界に一つの製作家具の特殊性、末永く使われる願い、プロが譲ってはいけないポイント、家具の歴史を学び踏まえた上での文化的な要求性能にまでお話は普通に及びます。いつもながら「工人銘」の音読は棟梁塾でとびきりの講義となります。来月には「漆」の講義と実習が待たれます。
 建具も、表具も、家具も、一品生産の物つくりで、町家改修の実務の目標と重なります。2011年の棟梁塾もよろしくお願い申し上げます。