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京町家作事組



◎第三期京町家棟梁塾たより 14


 7月の6日の棟梁塾座学では「町家再生の創意と工夫」の第4章をテキストに「町家の手入れ」の講義がありました。半永久的に続けられる町家の仕組みについて学ぶなら、メンテナンスフリーという考えが欺瞞的に思えます。とことんメンテナンサブルが町家の立脚点なのだとわかります。テキストが素人の聞き取りで書かれてから6年、手入れのセオリーも現場の実務の積み重ねでかなり確立されてきたような気がします。
 10日の実習では荒木塾長の倉庫に見学に向かいました。新しい材料も、解体された建物から来た古材もすべて、材種、用途、寸法が見えるところに書かれています。いちいち出す手間を省けます。同じ一等材の柱でも、まとめて買うとムジがいくつか混じります。丁寧に仕分けて、大切に使い分けることを教わります。一期の塾生OBも見習っているところです。逆に本来は野材でいいはずの材料にはじめから手がかかりすぎているというお話もありました。


町家の改修現場では見られないようなお寺の登り梁や、お茶室用の野小舞竹、お屋敷の床板なども見る事ができますし、今ではあまり見られないやりがんなで仕上られた材料も見る事が出来ます。塾長のお手製の1/10の町家の模型もいったん完成したようです。


 20日の座学は「京町家と現行法規」の題目ですが、これも棟梁塾のカリキュラムが組まれて5年を経、講義の内容も変わってきました。各方面の問題整理にとどまっていた当初の内容が、伝統構法を巡る社会的な認知の広がり、現実の法の運用の変化の中で、性能評価に向かう国レベルの動向と、町家の新築に向けた現場の課題の確認にシフトしています。あまりしんどく重い話にならないよう、町家の夏のすごし方と冬を暖かくする知恵や工夫についてオプションの話もありました。8月の棟梁塾はお休みで、9月から最後の半年に向かいます。

(塾頭 末川協)