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京町家作事組



◎第三期京町家棟梁塾たより 17


 11月3日の実習では「いけばな」を学びました。花見小路の楽空間「祇をん小西」を訪ね、小西いく子先生からお話を頂きました。日本でも古代から花を飾り眺める文化があり、信仰や茶の湯とも結びつきながら、江戸時代には形が整った「生花」となる歴史を伺いました。近代以降自由にいける「盛花」へとつながります。床の間の勝手に応じた花の勝手など、花を飾り愛でるための基本についても教わり、その手ほどきを頂く事ができました。

10月5日座学 荒木塾長による講義
11月3日 いけばな実習
10月5日座学 荒木塾長による講義
塾生が活けた作品

10月5日座学 荒木塾長による講義
11月6日 堀氏による電気工事の講義
 6日の座学では電気工事担当会員の堀宏道氏より町家にまつわる電気工事のお話を伺いました。特にその安全管理の考え方については、技術者としての責任と誇りに満ちたお話で、6年目を迎える棟梁塾の講義の中ではもっとも技術的なレベルの高い話の一つとなりました。それなりに優れた技術を組み合わせた四種電線の仕組みから3線引きの導入、家電の容量が増えていく過程と漏電防止の仕組みの追いかけっこ、その中で取り残された町家の現実の危険がどこにあるのか、「人の家にケチをつけるアポなしおっさん」の正体と役割とは?出火防止に限界があり、初期消火対策との連携が現実に採られていることなど、普段町家の改修に取り込む実務者も知らない怖い話を聞く事が出来ました。結論で言えば町家の改修工事で、配線の全面改修を避ける事はできません。いつまでたっても楽しい照明器具の再生の話にはたどり着きません。

10月5日座学 荒木塾長による講義
11月16日座学 木造建物の決りと心得
 9日、16日の座学では、先月実習で、実測を行なった大岡邸の実測図の出来栄えの講評とそこからの拾い出し、値入まで荒木塾長に講義を頂くはずでした。しかし、ほとんどの塾生の成果は講義の実現できるまでには至らず、9日には再び、町家の歩掛についての話、16日には塾長お手製の「木造建物の決り・心得」での講義となりました。歩掛の説明の「肝」は撤去解体と揚げ前イガミ付き、多くのお客さんにとって一番の心配でもあり、また期待も大きいところです。仕上の内容や数量は後からの仕事を見てわかります。それ以前の工事をどれだけ丁寧に説明できるかを大切に話されました。カリキュラムの宿題は毎日現場で働く塾生には荷が重かったかもしれません。しかし、実測調査から設計提案、お金が入れられるところまでまじめに出来れば、実際に町家の改修を主体的な生業としていけるということです。チャンスを逃した塾生も、自分の専門分野の中だけにとどまらず、いつか時間をつくって再挑戦してほしいところです。

(塾頭 末川協)