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京町家作事組



◎第五期京町家棟梁塾たより 8



棟梁塾座学12「京町家の決まりごと3」

棟梁塾実習8「洗い」

棟梁塾実習8「塗装」

棟梁塾実習9「板金」
 6月1日、荒木塾長による『京町家の決まりごと』3回目の講義では、かつて大工棟梁と並んで棟札にその名前が記された手伝い(てったい)という職能についてお話しがありました。いまは人工知能によってなくなる職業が取り沙汰されますが、専門職や機械に取って代わられ、無くなったり、少なくなった店から教わったことは少なくなかったということでした。そのほか、手摺りや棚、茶室の寸法について実践的な知識が得られる図解資料が追加され、町家の標準と建築基準法とのずれについても言及がありました。

 6月12日は現場実習で午前中に古建具等の洗いを、午後は塗装を体験しました。洗いで、長年使われた古い建具や天井等の汚れや焼けを落とす。新築時にも大工や左官の垢を洗って納める。講師の洗い屋神門さんによると、昔の職人は、灰汁洗いといって藁灰を燃やして漉したぬるっとした灰汁の層を使って汚れを落としたが、いまは苛性ソーダを使っている。苛性ソーダを水に溶かす際は日の当たり具合によっても濃度を調整する。稲穂を束ねて穂先を叩き水含みをよくしたやわらかい刷毛(水箒)で撫でるようにしながら、木にどれだけ苛性ソーダを入れていくかをみる。竹を細く割って束ねた堅い刷毛(ささら)でやや強くこするように黒い汚れ部分を中心に洗剤を入れていく。スポンジやナイロンたわし、こそぎやペーパーも適宜使う。うすい古色で木目を少しみせるようにしたり、シュウ酸で中和し新築の薄い色にしたりする。杉はシュウ酸ですごくきれいになるがヒノキはなかなか、だそうです。桜、欅、松の床地板が洗いでするっと垢ぬけるところを目の当たりにして快感をもった方も多かったようです。休憩をはさんで午後からは建具の塗装です。弁柄、松煙、赤砥の粉を適量、柿渋でとき、塗装が剥げた舞良戸を塗り直し、その上から雑巾で油拭き。艶がでて古い舞良戸が見違えるようにきれいになりました。

 6月19日はストロベリーセブンの橋爪さんに板金とはどんな仕事か、基本的なことが概観できるように楽しく教えて頂きました。瓦屋さんとの棲み分け、ガルバリウム鋼板の原板の厚みや幅、性質や曲げ方、切り方、ロータリーシャー、ロールフォーミングといった機械の使い方、成形の仕方などを実際に扱いながら学びました。線は「引く」もの、はさみの大きさは目一杯使うようにできているなど、物は言いよう、目から鱗の至言の連続でした。
(作事組事務局 森珠恵)