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京町家作事組



◎第五期京町家棟梁塾たより 13



棟梁塾座学19「町家の手入れ」

棟梁塾実習16「漆塗り」

漆刷毛
11月2日「町家の手入れ 傷みの見分け方・改修の方法」では、風を通す、雨を漏らさないという大原則のもと、基礎石、セメント、三和土、モルタル、サイディング、焼板、漆喰壁、波板や各種屋根材、設備などの耐用年数を知り、傷みに応じた対処法を学びました。木造住宅を長期間よい状態に保つためには、材料の選び方に加え、各部の傷みに気づき、正しくとらえて適切に対処するということが必要で、年に一度は床下、屋根、樋を点検するなど定期的に家の状態に意識を向けることが不具合の早期発見につながります。

 11月13日の漆塗り実習では宇治の京都幾何工房を訪ね、拭漆の最初の工程、捨て摺りを体験させていただきました。手袋をはめ(大事です)、刷毛と箆(へら)を使って生地に生漆をしっかり摺り込み木目に吸い込ませます。余分な漆は箆で取り、手ぬぐいで擦りなじませます。木の性質によって漆をよく吸うものとそうでないものがあり、それによって漆の使用量が変わってきます。胴摺刷毛という馬の毛を固めて木で包んだ刷毛を見せて頂きましたが、実習では豚の毛の安価な刷毛で代用しました。箆は塗師屋包丁で檜やエゴ、楓などの木を削り、つくるところからみせて頂きました。箆として使われるものにはクジラの髭という珍品もあり、髭とは思えない薄い塊に半信半疑でした。室に預け乾燥させた作品が皆さんのところに届くのはひと月ほど先になりますが、塗った人が悪いのか漆が乾燥したあとでもかぶれる人はかぶれると聞いたことがあります。真偽の程はわかりませんが大事に扱いましょう。
 
 11月16日「町家改修工事にかかる工事内訳」では、大下さんの説明により作事組の標準単価表の見方を全業種について確認していきました。実測実習を行った町家の図面と仕様書について各自見積もりを作成し、講師の作成する見積とつきあわせて差異を理解することが次回座学の課題となります。仕事では各専門職がそれぞれのパートを見積りますが、棟梁塾の課題ではすべて自分で見積りますので、これまでの実習で他職種の仕事を疑似体験し、見積も経験し、町家改修の総合的な理解と共に細かい部分の理解も進むと期待しています。
  
  
(作事組事務局 森珠恵)