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京町家作事組



◎第五期京町家棟梁塾たより 15



棟梁塾座学22「堂宮用語」

棟梁塾奈良見学「東大寺二月堂」

棟梁塾奈良見学「東大寺南大門」

棟梁塾奈良見学「佐藤傳増尾商店」
 1月18日の「堂宮用語」は、社寺建築工事の際に塾長が制作した模型と図面を見ながら、80余の用語解説を聴き、女千木と男千木など異なる細部の意味やきまりを知るとともに、歴史的な流れのなかで、神社建築にも大社造の出雲大社や唯一神明造の伊勢神宮など奈良時代前期までの直線的な様式から、奈良時代後期以降の仏教建築の影響がうかがえる曲線的な様式へと変遷がみられることなどを学んだ。
 1月22日の「奈良見学」では、東大寺、元興寺、なら町の町家、興福寺を見学した。東大寺では三月堂で諸尊像を拝観したのち、奈良と鎌倉という異なる時代の様式がつながれている外観を興味深く見学した。石段をのぼって二月堂本堂から一帯を見晴らし、鐘楼へ向かった。鐘楼のねじれたような柱材や土台の造りを間近に見た。その後、南大門の柱と貫の組まれた構造を見学する。軒を支えるときょうは南大門では六手先まで重ねられ、構造物であるとともに装飾的な組物になっている。後日の座学で堂宮のレポートを発表した大工の坂根さんが、大斗と肘木を持参し解説を加えた。他職の人も順番に手に持ってみて、大工の身になって考えるという抽斗がまた増えたのではないだろうか。午後に歩いたならまち一帯は静かでところどころ朽ちた家屋がみられたが、元興寺町にある「格子の家」は、92年の完成以来、ならまち散策の名所となり、作事組全国協議会同人である、なら・町家研究会の拠点となっていて、中庭の奥の離れでパネル展「町家の屋根と瓦」が開かれていた。同研究会の年に一度のパネル展は今年で24回目という。瓦屋根が様々な角度から捉えられ美的景観の要素として欠かせない瓦の美を伝えていた。砂糖傳増尾商店前ではゆるキャラがお店のPRをしていた。お構いなしに店の表格子などを熱心に見ている風の棟梁塾の実習風景をゆるキャラ目線で撮影した。ならまちの中心、元興寺境内へ着き、極楽堂の曼荼羅図などを拝観する。極楽堂と禅室の屋根に飛鳥時代の古式の瓦を見ることができた。長い雨宿りのあと、興福寺で五重塔や東金堂、南円堂、北円堂、三重塔を拝観した。鎌倉時代に再建された北円堂が美事と聞くが、柵の向こうに佇み遠目からしか見られない高嶺の花だった。   
(作事組事務局 森珠恵)