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京町家友の会
友の会会員さんのお宅訪問
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第4回中京区中野邸
文:山田 公子 〈京町家友の会事務局〉
写真:堀内 健〈京町家作事組〉・松村 聡〈京町家友の会会員〉

●京都の真ん中、御所南
ビロード工場 中野邸は京都御所の南地域に建ち並ぶ「大塀造り」の町家で、間口4.3間、奥行き15間、母屋と離れを持つ堂々とした町家です。母屋の創建は1900年頃と伝わり、「入母屋造り2階建て」のお家です。
 年が明けて間もない1月15日(日)、午後2時から始まる集まりに先がけ、来訪者の方が迷われないようにとのお心使いもあってか、中野邸の改修施工を担当された京町家作事組メンバーの許x内工務店・堀内健氏が通りに面した玄関先に「施工前」と「施工後」の写真をパネルにして貼っておいてくださいました。「へえ〜、以前はこんなんやったんや〜」と、誰もが美しくなった外壁等に感心しきり。玄関門を入ってすぐの南側、鬼門の場所には紅白の南天が植えられていて、清々しく華やかな新年の彩りでした。

●幼い頃の楽しい思い出
ビロード工場 当日の参加者は20名。私が受付をするため早めに着いたつもりが、お家の中にはすでに会員の方が数名、興味深げに一階の居間やだいどこ等、見学を始められていました。やはり、そこここに改修前の大きな写真パネルを置いていただいていて、特にかなり傷んでいた離れの写真を見た時には、よく壊さずに改修されたなあとお施主さんのお心持ちに感動いたしました。
 午後2時前には全員が二階のお座敷へ移動。まずは松村会長から新年のご挨拶を受け、その後、御当主の中野博子さんにお家のこと、改修のいきさつ等々お話をいただきました。
 中野邸は、もともと博子さんの御父様のご実家の一部ということですが、御父様が東京に出られて博子さんも東京で生まれ育たれたとのこと。今回のお話の中で特に印象深かったのは、子供の頃にこのお家に遊びに来て、親戚の子供たちと一緒に走り回ったりしながらとても楽しい時を過ごされたという思い出をお話される時の博子さんのお顔。本当に楽しかったというその頃の出来事をこの家で思い出しておられるのがとてもよくわかりました。その思い出と共に家に対する愛着が今回のような改修へと繋がり、そしてこれからはこのお家を慈しみながらご夫婦で過ごされる時間がきっと増えていくのだろうなと思いました。

●あらあら、珍しいものが……
ビロード工場 お話を伺った後、改めてお家の中をぐるっと自由に見学。だいどこの上にあってどのようにして出入りするのか不思議な納戸、一階居間や二階お座敷奥に置かれた横文字のネーム入りの洋行用の大きな鞄、玄関間に置かれている幅広の引き出し棚、お手洗いの凝った装飾彫りのされたドアなど、目を引くものがそこここに。中野さんにお尋ねしたいことがまた増えて、見学の後は、再度質問コーナーとなりました。
 大きな鞄はおじい様が船旅での海外旅行へ行かれた時に使われたもの。幅広の引き出しは大きな洋服ダンスの下部分だけ。凝った彫りのドアは、その洋服ダンスの扉の1枚とか。洋服ダンスのその他の部分は今タンス屋さんに預けてあって、近々以前より少し幅の狭い洋服ダンスに生まれ変わって届く予定とか。

●「京町家歳時記かるた」遊び
ビロード工場 お茶と御菓子で一服した後は、3名で一組となって、真ん中に座布団を置き、「京町家歳時記かるた」で遊ぶことに。一組にかるた1セットをお渡しして、まずは、12ヶ月各月4枚の絵札の説明をしました。かるたを渡してすぐにバラバラにされた組は、その中から説明の絵札を探すだけでも一遊びの興。内容をざっと把握した上で、親を決め、札を配り分け、場に並べて、それぞれに遊んで点数を付けていただきました。何回か繰り返し、「組の中で一番得点の多かった方には、心ばかりのご褒美を」というと、皆様一層熱を入れて遊んでくださいました。ただ、ルールを勘違いしている方や、「ちまき」は、このかるたの中では和菓子として5月に設定しているのに、祇園祭のちまきと考えて7月の札と思い込んでいる方がいらしたりして、1回目はなかなかスムーズには運ばない組もありました。
 今回遊ばれた会員さんには、今度は遊び方を教える側になってくださいねとお願いして、この日は解散となりました。