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京町家友の会

夏の例会「ちおん舎見学会」報告

 夏の例会は8月25日(日)に新会長、西村吉右衛門氏が運営する「ちおん舎」を見学し、会長のお話を伺いました。
 ちおん舎は、もともと千切屋西村吉右衛門家の居宅でした。10年前から(株)千吉商店が、「温故知新」から「知」と「温」をとり、千・智と音・恩の意味も含ませ、伝統の智恵を現代の生活に生かすことにこの空間の「場」の力を利用したいと、「ちおん舎」と名付けて、多目的の貸し会場として運営しています。
 建物は主屋、座敷棟、玄関棟、茶室、蔵等の部分から構成されており、それぞれ違う時代に建造されました。主屋は、明治の始めに建てられ、座敷棟は、大正4年の大正天皇即位御大典の貴賓をお泊めするために建造されました。一階はトガ角柱を主体として長押を打った格調高い書院造りになっています。玄関棟は、明治34年に建てられ、2つの玄関がありましたが、2度の改造の後、現在ギャラリーになっています。茶室は昭和13年に建てられた典型的な四畳半の空間で、南面ににじり口、北面に貴人口を設け、南北両側を露地とし、天井も真・行・草の3種張りわけるなど、充実した内部空間になっています。
 会長から以上のような建物の説明をいただき、また1555年に創業した千切屋西村吉右衛門家の歴史と江戸時代の家訓とその価値観についてお話を伺いました。座敷棟には、バーナードリーチ、河井寛次郎の陶器や棟方志功の絵画などの所蔵品もさりげなく飾られ、思わぬ美術鑑賞もさせていただきました。
 最後に三条通りに面していた店の後に残る蛤御門の変でも焼け残った貴重な蔵を拝見させて頂きました。