町家スケッチBOOKpage.06

奈良
古い都のおかれていた奈良で、平城京の東部の外京(げきょう)のあたる所に、これも古いお寺である元興寺がある。奈良町と呼ばれる地域は、この元興寺の旧境内を中心とした一帯で、江戸時代末期から明治時代の町家が残っている。建物は切妻平入りで、背の低い厨子2階が多く、道に面してばったり床几(あげ床几とかあげ見世ともいう)があったり、虫籠窓があったりと、京町家に類似する。格子は千本格子も多いが、古い形式では奈良格子と呼ばれるものがあり、これは上から下まで半丸の丸太で通しているもので、江戸時代に各町で鹿を追い込み角を切る時に、鹿を傷つけないように作られたといわれている。内部は通り庭に沿って部屋が並び、土間にはおくどさんがあり、柱は吹き抜けの上まで通っている。ここも通し柱型の町家である。