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京町家友の会



 (七)

 善財が、これまで会(お)ーた人(しと)らのことを思い出し、教(お)せてもろたことを考え、感謝しーしー、南え南えと歩いていると、大(おー)きー国に着いた。王(おー)さんわ、丁度(ちょーど)お仕事中(ちゅー)で、裁判したはった。
 「おまえ、何(な)にしたんやいな。」
 「へー、王(おー)さん。わて、人(しと)を殴りましてん。そーかて、そら相手が先に蹴りよったさかいや。」
 「人(しと)を殴ったらあかんちゅー、この国の法律(ほーりつ)を忘れたんか。殴った方(ほー)の手(てー)、切ったる。ついでや、先に蹴ったやつの足も切ったれ。」
 ほな、目(めー)の前で、しとりわ手(てー)、しとりわ足切られはった。
 「次の者(もん)わ、何(な)にしたっ。」
 「へー、すんまへん。ただ、そのー、お辞儀すんのん、ころっと忘れてただけでございますでございます。」
 「よし、おまえわ、お辞儀せんかった、その首切ったったろ。」
と、目(めー)の前で、首切られはった。次の者(もん)わ、居眠りしたんで、両目(りょーめ)えぐられた。火(ひー)ちゃんと消さなんだ者(もん)わ、熱い灰の中に投げ込まれた。お尿(しっこ)たれわ、そのお蒲団にくるまれて、油注いで火(ひー)つけられた。そらそら恐ろしー裁判やった。
 「あほくさこら、王(おー)さんの方(ほー)が、ほんまもんの悪(わる)やんか。あないに、えげつないことしよってからに、何(な)んで偉らい人(しと)やねん。もー、どないしょー。」
 善財が、こない案じてると、また天女らが、口をそろえて、ぼろくそにどやしよる
 「あかんたれ。悪者なんかや、あらへん、あらへん。あんたにわ、人(しと)の、ほんまの心が、まだわからへんのかいな。すかたん言(ゆ)ーてんと、早(は)よ行(い)きーさ。」
 ほいで、善財わ、王(おー)さんのとこえ行って、お詫びをしーしー、尋(たん)ねるのやった。
 「鈍(どん)なこってすまんこっとす。どないしたら、偉らい人(しと)に成れんのどっしゃろか。お教(お)しえ願い存じます。」
 すると、王(おー)さんわ答えはった。
 「構(かま)しまへん。そやけど、よー聞(きー)とくなはった。わしゃ、正しー行(おこ)ないと、人(しと)を戒(いまし)めることを知っとる。先(さっき)んからの罪人(ざいにん)らわ、ぶっちゃけたとこ、皆(み)ーんな、わしが作ったロボットや。人間そっくりの作り物(もん)に悪いことさして、えずくろしー裁判したら、それ見た人間わ、皆(み)ーんな、もー仕様(しょー)も無(な)いこと、しーひんよーになる勘定(かんじょ)や。わしゃ、虫一っぴきかて、殺すちゅなこと、しーひん。生き物(もん)の命わ、大切におしやっしゃ。」
 ほんで、王(おー)さんから、正しー行(おこ)ないと、人(しと)を戒(いまし)めることを学んで、またまた南えの旅を続けたんや。

つづく

※アンダーラインのある言葉は標準語の吹き出しをご覧下さい。