• 京町家net ホーム
  • サイトマップ
  • アクセス・お問い合わせ
京町家再生研究会
大谷孝彦

町家再生の原点−再生現場に見る通り貫け空間
 5月13日に第9回定時総会を終え、京町家再生研究会も新しい年度を迎えました。今年度も引き続きニュースレターをお届けして参ります。年に6号を出すとなると各編集委員も結構忙しいことではありますが、少しでも内容を充実していきたいと思っております。皆様にも積極的に御参加頂ければと思いますので、町家あるいは当研究会の活動について御意見、情報などがありましたらお知らせ下さい。今後、状況に応じてページ数を増やしていくことも可能です。

 さて、今、作事組で取り組んでいる町家再生の現場がありますが、先日来、今までの改装などで大分複雑な様相になっていた内部をそっくり撤去しました。そうするとそこに現れたのが、間口2間強の町家ですが、奥に向かって半間ごとに両側の側柱と2階床のささら桁の架構が何列も並んでいる。そして、表から奥の庭まですかっと通り貫けている。そういう空間でした。そこに感じられるのは、京都という歴史都市の中で培われてきた合理的な木造構法が作り出す町家空間の原点のようなものでした。これからこの町家再生の内装工事が始まります。再び色々な造作が入り込むわけですが、できるだけこのシンプルで爽やかな町家の原初空間が生きる形の内装を行いたいと思いました。実は、これは町家再生の大切な要素であると思われるのです。今後折にふれそのことに関する具体的な話題にも触れてみたいと思います。