京極迪宏(再生研究会理事・交流会担当) 再び「町家再生」の意味を問う この12月1・2日に行われる第2回全国町家再生交流会の案内状が全国の仲間に発送された。本誌51号(本年3月1日発行)巻頭で、「全国町家再生交流会を再び京都で」と呼びかけてから早6ヶ月が経過し、昨年11月から続けられている実行委員会での開催準備も詰めの段階に入った。 私は、『季刊まちづくり』第3号(2004年6月)の特集「町家再生の仕組みを考える」の冒頭で、〈町家再生は市民主体のまちづくり〉であると述べた。ここでの町家再生の位置づけは現在に生きている。地域における独特の歴史と文化を凝縮したストックである町家の保全・再生、さらには次代に適応した新しい利活用を通じて、失われてきた地域独自の歴史と文化を掘り起こし、再創造していくことが市民の共感を呼び、地域を活性化させる。私たちが目指す町家の保全・再生運動は、単にファサードや形態の復興を目的とするものではなく、歴史資産である町家の復権を軸に、地域独自の生活と文化を再び自らの手に取り戻す市民活動である。 世は「町家ブーム」である。巷には俄か骨董趣味を擽る擬似再生町家が不動産市場を賑わせ、町家らしき格好をした飲食・物販店舗が観光客を惹きつける。このことは市場の経済効果により産業界からも好感を持って迎えられている。あたかも時代を風靡する景観規制について、「景観の価値分析」によりその経済効果を評価する風潮に似た現象である。しかし、共にはたして市場経済の論理で考える対象なのだろうか、大いに疑問だ。各地の仲間と話し合いたい重要な課題である。 今回は北野天満宮の門前、上七軒歌舞練場に会場を移す。少し華やかな雰囲気の場が、各地の町家再生運動の盛り上がりを演出し、一層活発な意見交換・交流が行われるだろう。今回、数度にわたる実行委員会で十分検討して、分科会は以下の5つがテーマとなっている。
次回の開催地に夢を馳せる。
2007.9.1 |
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