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京町家再生研究会
小島富佐江(京町家再生研究会)

「地域再生大賞準大賞」受賞のご報告と昨今の活動について

 本年2月14日に第3回「地域再生大賞」準大賞をいただきました。授賞式ならびに受賞団体が参加したシンポジウムが日本プレスセンターホールで同日開催されました。
 地域再生大賞は、地方の疲弊が深刻化する中、地域の活性化を目指す取り組みを支援しようと設立された賞で、共同通信社と加盟新聞46紙が主催をされているものです。
 当日は日本全国から様々な活動をされている方々が会場に集まり、会場は真冬ながらも熱気のある場となっていました。

 1月14日付けの京都新聞の紙面で発表され、すでにご存知の方もあるかと存じますが、大賞は沖縄県伊是名村「島の風」、準大賞は山形県「山形国際ドキュメンタリー映画祭」と「京町家再生研究会」でした(詳細につきましては、こちらご覧下さい)。
 賞のタイトルにもあります地域再生という言葉は大変意味の深い言葉であり、私たちが取り組んでいる京町家の再生にも通じるものです。点から線、線から面へと活動を展開するという20年前の設立当初の目的もあり、今回の受賞はその目的の再確認のためにも大きな標となるだろうと思います。おりしも20周年記念事業と時期が重なったことには、不思議なめぐりあわせでしたが、原点回帰、京町家再生研究会の新しいスタートを飾ってもらえることとなりました。

 2月11、12日には初めての試みとなる東京での「相談会」を開催しました。東京から京町家を探してこられる方がじわじわと増えていることに対応するため、京町家情報センターを中心に計画を進めておりましたが、京都市景観・まちづくりセンターの協力を得て、京都造形芸術大学の外苑キャンパスをお借りしてミニシンポジウム、京町家ネットメンバーによるセミナーを開き、東京圏の方々にお越しいただきました。京都府建築工業協同組合、京都府建築士会のメンバーも交えて、町家の探し方、直し方、住み方などをご紹介することができました。ご参加いただける方々がどのくらいいらっしゃるのかと案じておりましたが、多くの方がご来場下さり、ミニシンポジウム、セミナーも和やかに活気のあるものとなりました。
 13日には野村コンファレンスプラザ日本橋においてワールド・モニュメント財団支援 京町家再生プロジェクトのシンポジウム「技の継承―京町家の再生を通して―」を開催しました。京町家作事組で町家を改修されたデービッド・アトキンソン氏(株式会社小西美術工芸社代表取締役会長兼社長)、京町家作事組事務局のある釜座町に代々お住まいの大西清右衛門氏(釜師 大西家十六代当主)に文化の継承を大きなテーマとしてお話をいただきました。文化、技の継承というテーマは文化財や修復の技術ということではなく、私たちが引き継いできた町家をとりまく様々なものすべてに対して、どのように向き合い、どのように取り組んでいくのかということをお話いただきました。
 大西氏からは茶釜を作られる工程の映像をご紹介いただき、ご自身のお仕事に対するお考え、取り組みについてのお話をいただきました。十六代という長い時間の重みを感じさせられたお話でした。
 アトキンソン氏には、まず、なぜ京都の町家をお選びになったのかということをお聞かせいただきました。そこにあるもの(町家)をきちんと修復する、使いこなす、住みこなすことをお話いただき、背筋の伸びる思いがしました。文化に対する日本とイギリスの考え方の違い、対応の差などとてもわかりやすいお話でした(詳細については後日報告)。
 会場には約150名の方々が寒い中ご来場いただき、熱心にお二人のお話を聞いてくださいました。お二人の掛け合いには楽しい場面もあり、文化の継承という大きな難しいテーマでありながら、アトキンソン氏、大西氏のお人柄に支えられた楽しいシンポジウムでした。
 東京で京都の町家についての話がどの程度理解されるのかと、不安もありましたが、今回のシンポジウムでは、その不安が払拭されました。私たちがもっと身の回りにあるものを見直し、その大切さに気づかなければいけないという思いは、どこに暮していても同じだということを再確認しました。
 できれば、この続きをまた開催したいと思っております。
 一連の催しを通して、これからの大きな課題が明確になってきました。
 「地域再生大賞」準大賞の受賞式後、各地の方々とお話をしましたが、「継承」という大きな問題が共通してあり、次世代への周知、教育などをどのように進めていくのかということに対しては、早急な取組みが必要だと実感しました。

 会員はじめ、多くの方々のご支援、ご協力に支えられ、京町家ネット初めての東京での催しは以上のようにまずは成功裏に終わったと思っております。
 ありがとうございました。

2013.3.1