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京町家再生研究会
小島 富佐江(京町家再生研究会理事長)

年のはじめに

 新年あけましておめでとうございます。

 おだやかで、健やかな年になるようにと願っています。今年も様々な企画を進めていきたいと思います。引き続きご支援とご協力をお願いいたします。

 京町家再生研究会の活動がスタートして、今年で24年を迎えることとなります。町家の再生を大きなテーマに活動をしておりますが、年々はやりのようなものがあるのは否定できません。発足当初はやはり店舗、飲食店への転用が注目を浴びました。おしゃれな町家カフェは今では当たり前のようになっておりますが、研究会で取組んだお店がその魁となったことは皆さんもご承知の通りです。その後も店舗の要望が根強くありますが、普通に住むこと、住居としての希望も少なくありません。これはとても心強いことで、本来の姿である都市型の住宅として使い続けてほしいと思っています。飲食店の後には物販の店も増えました。三条通りから南へ、四条を下がってもあちこちに町家の店を見かけます。品物は様々、洋服であったり、お菓子であったり、古道具であったり、町中のお店をあちこちうろうろしながら歩くのは楽しいことです。きっと町家が沢山あった時代にはもっといろいろなお店があったのだろうと想像します。

 近年急増しているのが宿泊施設です。町家で泊まるということに興味を持たれる観光客が多いそうで、インターネットを検索してみると沢山の町家宿泊施設があらわれます。本部の周りにも瞬く間に4、5軒出現しました。普通に住んでいる場所に突然見知らぬ人があらわれます。路地の中にもあるので、びっくりすることがあります。路地は本来そこに住む人だけの空間で、普段はあまり外部からの人が入らない場所ですが、宿泊施設ができるとこれが大きく変わります。この熱がいつまで続くのか気になるところではありますが、地域のコミュニティがいびつにならないようにと思います。

 今年のはやりは? 町家の使い方は本当に千差万別。次はどんなものが出てくるのか、怖いような、楽しみなような。ただ、せっかく大切に住み継がれてきた家ですので、くれぐれも粗末に扱うことの無いようにと、関わる人たちは心して取組んでほしいと思います。今年も1軒でも多くの町家が再生できるようにと願っています。

 さて、今年やってみたいことを考えてみました。昨年秋の釜座町の町家でのカフェ、運営側にまわるとお客さんのいろんな声が聞こえてくるそうです。相談窓口もいいけれど、たまにはカフェを開いて、雑談の場を作っても良いかもしれないと、カフェを時々開店してみたいと思っています。友人が「たまにたまりバー」もやってみたいと言っていましたので、これも検討課題です。われこそはと思われる方はどうぞお手伝い下さい。

 せっかくですから、町家で営まれていたいろんな暮らしを考えてみたいと思っています。時代の流れ、家族の変化、地域の変化などなど、集まってお話が出来る場をつくろうかと考え中。歳時記の復活も視野にいれて次世代へのつなぎ目を作っていきたいと思います。

 京都に現存する町家は平成20年で47,000軒でしたが、年々減少し続けていて、ここ数年で本部の界隈にあった大きな町家が5軒ほど無くなり、共同住宅やホテルに替わりました。建物だけを残そうとしても、何のために残すのか? これからどうするのか? これからも生き続けていくための方策が大切です。中身はやっぱり大事なことなのです。ハードとソフト、その両方があってこそ、町家再生と言えるのだと思います。そのためにも中身の充実に今年はもう少し力を入れていきたいと考えています。単なる懐古趣味ではなく、これから生き続けていくために町家に何が必要なのか、どのような手だてがあるのか、これまでの流れを整理して見直すことも大切です。前回の調査からかなり時間が経ってしまいました。これからの方向性を探るためにも再度調査の必要が出てきているのかもしれません。調査の目的、方法を練り直し、きちんとした方向性を出せるような調査がしてみたいとも考えています。

 「町家調査」の復活、これが私の初夢かもしれません。平成6年に始まった調査です。調査員の人数は僅かでしたが、多くの町家の方々にお目にかかるきっかけとなった大切な取組みでした。町家が京都のまちにとって、とても大切であるということを教えてくれた調査です。もう一度原点にもどって、更なる町家再生に取組みたいと思っています。

2年に1度開催の「全国町家再生交流会」が開かれます。
詳細は当ホームページで追って掲載いたします。
日時:2016年2月6日(土)、7日(日)
場所:埼玉県川越市

2016.1.1