旧谷崎潤一郎の居宅、潺湲邸（せんかんてい）の見学に伺いました。講師は建物を調査された京都工芸繊維大学の矢ケ崎善太郎先生と建物管理されている日新電機株式会社の井上昌幸氏です。昭和 24 年から 31 年まで、谷崎がもっとも長く住んだ宅であり、「陰影礼賛」「細雪」「瘋癲老人日記」等の著作が行われた場所です。座敷や書斎、茶室やマージャン部屋などが池を中心にした庭園を取り囲んで配置されています。実際の仕事場の作りは「陽光礼賛」とも呼べる明るいつくりで、谷崎の人柄を表していると言われます。主屋や庭のつくりは実際にはいつの時代に誰が作ったものかははっきりせず、明治の終わりから大正の初めにかけての洛北での宅地開発の近代史掘り起こしの課題を伺いました。

2005年4月例会報告
「京町家調査」報告会
日時：平成 17 年 4 月 9 日（土）
場所：学芸出版 3 階ホール

「ハウジング＆コミュニティ財団」委託による「建築物の整備等による良好な景観形成のための住まい・まちづくり活動団体の実践的取り組みに関する調査事業」の報告会が行われました。京都での景観の形成における町家の位置づけ、その再生継承活動の位置づけ、町家を取り巻く近代史の整理の上に従前からの再生研でのヒアリング調査内容を位置づけ、全般的な課題についての考察の報告がありました。また、新規に取り組み継続中の町家改造型飲食店のアンケート調査の報告もありました。報告者、参加者の枠をこえて活発な意見交換が行われました。