7月例会報告
「フランス、ベルギーにおけるヘリテイジマネジメントの理念とシステム」
日時:平成17年7月9日(土)
場所:学芸出版社3階ホール
京町家再生研究会の木下龍一理事より、豊富な資料と映像を交えながら上記の講演が行われました。
フランスの例では、王政、共和制を揺れ動く歴史の中で市民社会の形成と並行しながら建築的都市的文化財保護の理念が練り上げられてきたこと、19世紀初めに、建物の用途は個人の所有者に属するもののその外観は社会的な所産とする理念が打ち立てられたこと、今日では、歴史的環境の保存の原則の中で自治体の権限と一体になり、肌理細かい地区再生の計画と実践の手法が開かれていること、その中で歴史的建造物監視官と言う行政権力から独立した職能を持つ建築家の大きい役割をお伺いしました。
ベルギーの例では建築の新築、改修、改変、解体についての所有者に向けた細かい許認可のシステムとそののんびりした運用、運用の基礎になる歴史的なストックのリスト、一律に1932年以前の建築物を保護する方策、行政による職住一致の都市再生ガイドラインの紹介等が行われました。
北フランスでは鉄筋コンクリート造の公共建築が物理的に瓦解する一方、保存継承が続く伝統的な木造建築都市も見られ、京都での取り組みにとって示唆に富む有意義なお話を頂きました。
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