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京町家再生研究会 活動報告

2010年3月例会報告

「二条陣屋(小川家住宅) 見学会」

日 時: 平成22年 3月27日(土) 午後2時 現地集合
場 所: 京都市中京区三坊大宮町

 今回は現在改修工事中の二条陣屋(重要文化財)の主屋を見学させていただきました。平成21年5月から平成23年12月までの予定で、大がかりな修繕工事が行われている真っ最中です。解体修理を実施されている京都府の文化材保護課の担当者にお話をお伺いしました。
二条陣屋は江戸時代後期の豪商の邸宅ですが、二条城や京都所司代等への伺侯の大名の宿泊所となっていたとのことです。建設年代は天明8年(1788)の大火のあとに順次建てられたのではないかと考えられ、その後幾度かの増改築が行われたようです。大正4年(1915)に開催された御大典にあたり、貴賓の宿泊所として大きな改造が加えられたとのことです。

二条陣屋01
二条陣屋02

 特色のひとつは防火に対する配慮で、外壁や軒裏全体を塗り込めとするだけではなく、近隣の火災が近づくと軒先に濡れムシロをつり下げることが出来るようにフックを設け、北側の神泉園からの水を流す水路と貯水槽が設けられています。また、防犯への配慮として、大広間の天井には気づかれないように武者隠しが設けられています。その他、各部屋には数寄屋の意匠が施され、複雑な間取りと意匠を整合させるため2重壁が各所に見られ、複雑な機能を処理するために廊下が2重になっている部分もあるなど、他ではあまりみられない興味深い工夫が多く見られます。
 調査をしながらの解体が進み、屋根は瓦から野地板まで降ろされ、壁は撤去されるか中塗りの下地までこそげ落とされ、柱や梁などの主要な構造体が確認できました。桁や梁など、必要な部分には大きな材木が使われていますが、柱や母屋などは全体に細く、数寄屋の繊細な意匠と構造を両立させる当時の大工さんの技量の高さが感じられました。また、解体の過程で、当初は軒先のみコケラ葺きであったこと、外壁の漆喰は修理を重ねて4層になっていたこと、壁の下地に一部銅線を使っていたことなどがわかったとのことでした。赤壁の間の土壁は何層にも塗り重ねられ、赤、青、白、薄桃色など、時期により様々な色土が塗られていたことなど、普段は見られない部分を見学させていただくことができ、興味深い見学会となりました。
工事は平成23年末までかけて行われるとのことですが、完成後に改めて見学させていただきたいと思います。 

 (内田康博 再生研幹事)
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