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京町家再生研究会 活動報告

12月例会 報告


日時 平成23年12月19日

 改修工事が進んでいる祇園祭船鉾町の収蔵庫を見学いたしました。船鉾町では、平成18年から19年にかけて町会所の改修が作事組によっておこなわれましたが、今回はその奥にある収蔵庫の改修です。設計・施工ともに同じ担当でなされており、地域とのつながりが継続していることが窺えます。
 まず、船鉾保存会の長江氏から伝統的な蔵を再生することになった経緯を伺いました。現代建築で修復すると、温度や湿度など物理的、機械的な調整が必要となりますが、伝統的な蔵の再生であれば、自然の力で収蔵することができます。保存会の決断により、伝統的な蔵が一つ、再生されることになったわけです。
 設計担当の木下龍一理事からは、基本的に復元の方針で改修されていることが報告されました。傷んだ梁や柱も、元の仕口を参考にして、入れ替えたとのことです。施工担当の山内工務店田中棟梁からは、水平を出すため大がかりな揚げ前をおこなったところ、壁の一部がブロック積みになっていたことがわかり、大きく崩れたとのこと、その部分の土壁塗りに予想以上の時間がかかったというご苦労が披露されました。今回の改修工事は、隣接するマンションの協力があってこそ実現できたものであり、町内の結びつきを強く感じました。
 祇園祭の行事や懸装品は大きな注目が集まりますが、それらを収めている大切な蔵について議論されることはあまりありません。しかし、祭の期間以外にもしっかりとそれらを護る蔵は重要であり、それを再生することの意義が重視されてもよいでしょう。住まいである町家と同様に、祭をとりおこなう町家(ちょういえ)、収蔵する蔵も中身があってこそ、器の再生に意義があるということを感じました。
 見学の後は、長江氏の袋屋にて、祇園祭や町内の今後について、熱い議論が交わされました。特に最近話題となっている後祭の復活やマンション住民が協力する祭の形などにさまざまな意見が寄せられました。
 終了後は、引き続き、隣町の矢尾定さんにて懇親会を開きました。この四条町では大船鉾の復元が進行しつつあります。町家、祇園祭、そして再生研のこれからについて、活発な議論が繰り広げられました。再生研が発足してから、町家を巡る環境は少しずつ変わりつつありますが、町家再生にはまだまだ課題が山積みです。来年もみなさまの協力を得ながら、少しでも解決できるように活動を深めていきたいと考えています。
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