3月例会 報告 二条陣屋ならびに改修中の町家 現場 見学会  日時 平成24年3月10日 場所 二条陣屋（中京区）、奥村家住宅（中京区） 二条陣屋として知られている小川家の改修が完成に近づいています。京都府文化財保護課の森田さんのご案内で、ゆっくりと見学させていただきました。今回は、天保期の建築当初ではなく、増築など大きな改変がおこなわれた嘉永期の状態に復元するというのが基本方針です。調査を踏まえながらの改修ということもあり、さまざまな発見や苦労などをお伺いしながら、広い小川家の隅々まで拝見することができました。土戸の工夫や茶室のしつらえ、能舞台への転換など、もてなしの空間と防火の仕組みが随所に見受けられ、興味深い改修現場でした。しめくくりには当主の小川さんからもお話をいただき、ご先祖の活躍を中心とする歴史、お商売、神泉苑という土地柄などとともに生き続けてきた家の変遷をお伺いすることができました。 午後は、ワールド・モニュメント財団第二次プロジェクトとして予定されている奥村家住宅の改修現場を担当の木下理事、大下氏のご説明をいただきながら、見学させて頂きました。こちらは大正時代に建てられた大型町家で、当時のモダンな雰囲気が残っています。今回は基本的な構造と１階部分の改修にとどまりますが、プロジェクトとして、通常とは異なる、町家における美術展示という課題があり、今後の展開が期待されます。再生研としてどのような協同が可能か、考えさせられる機会でもありました。プロジェクトが進展するなかで、みなさまのご協力をいただくこともあるでしょう。 ３月とはいえ、寒い一日でしたが、有意義な見学となりました。それぞれ趣は違うものの、大型町家をいかにして次の時代へ引き継ぐのか、重要な問題をつきつけられています。町家の価値が再認識されているにもかかわらず、大型町家が次々姿を消している現実において、今後ともみなさまのお知恵、ご意見をいただきながら、再生研として新たな解決案を検討していきたいと思います。 |
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