子供達の為の土壁塗ワークショップ 竹小舞を編む ワークショップ全景 土を塗りつける 泥団子をつくる このワークショップに突然飛び入りされた、大阪の工芸高校の先生と、わざわざインターネットでこのイベント情報を知り、関東から参加された2人の女性小学校教師は、土壁ワークショップを体験して、再び地元で再現したいと考え、指導者達の話しを良く聞き、慣れない作業に熱心に取り組まれていたのが印象的だった。おそらく東京では珍しい京都東山の土と西山の竹という、地域の自然素材を用いた京町家の土壁塗ワークショップは、貴重な機会になった様である。 一方子供達は、土壁塗仕事の合間に、左官親方が持参した色付き泥団子に興味を抱き、作り方を教えてもらうや、この団子作りに集中し始めた。練り土を手に取り丸めてゆくと段々小球体が出来上がる。まんまるになるには、一生懸命丸めねばならないが、子供達は男女を問わず父母までもが熱中する。出来上がると乾いた土玉を水に浸し、自分の好きな赤や黄、じゅらくや青の色土にまぶして手のひらで磨き上げる。数十分の作業だが、これ程仕事に熱中する子供達は最近なかなか見られない。最後に、親方から持って帰ってもいいよと言われた時の喜び様は、この上ないものだった。 私達、再生研、作事組メンバーの間では、常々京都市内の小学生を対象にこうした町家の作り方の基本的技術、大工、左官、瓦師達の仕事を紹介する機会を、是非作って行きたいと考えてきた。市内に大量に存続する京町家の構法、作法に於ける職人達の素晴らしい伝統技は、私達の住み続ける都市の生活環境の中に、大事な遺産として再生産され続ける価値あるものとして、世代を越えて伝えてゆきたいものである。 WAC-8 は、京都での会議や「アートと考古学展」その他関連イベントを通じて、私達に京都の地中に埋蔵されている遺物群と、それらから学ぶ歴史、文化の大切さを教えると共に、現代社会の抱える問題として、考古遺物や過去の生活文化を捉えなおし、将来の展望に向けて次の世代の人々と共に、新しい価値を共有してゆく必要があることを明示してくれた。WAC-8 京都実行委員会の反省会に参加して、世界の参加者からのレポートや市民、観光客のアンケートの内容がとても好評だったらしく、「アートと考古学展」や、そこに参加した私達の京町家再生活動への注目、関心がより高まる事を期待したい。 ところで、本年4月にオープンする四条町大船鉾町会所改修工事現場に於いても、地域の子供達を集めて、町家の土壁塗りワークショップがもよおされ、町内の皆様に喜んで頂いた様である。 将来、市の小学校の教育プログラムの一環に、京町家再生の技と知恵を学ぶ時間を、是非採用していただきたいものである。 <木下 龍一(京町家作事組 代表理事)>
|
|
|