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京町家再生研究会

まちづくりにおける地域のストック活用

豊永信博((社)日本建築士会連合会まちづくり委員会副委員長) 
 去る11月29日と30日の2日間(社)日本建築士会連合会まちづくり委員会は(財)京都市景観・まちづくりセンターとの共催で「第1回まちづくりセミナー」を開催しました。
 このセミナーは全国のまちづくり活動に取り組む建築士を対象とし、その専門性や職能の強化と今後のまちづくりの促進を目的としています。
 今回のテーマは「まちづくりにおける地域のストック活用」で、その先進的事例である京町家の再生への取り組みを京町家再生研究会、京町家作事組のご指導で学ぶことになりました。第1日目は京町家再生研究会の大谷理事長の講演と室町通り、新町通り、アルトレタントなどの視察と交流会が行われました。2日目は京町家作事組のご説明で大井邸の工事現場を始め再生事例の視察を行い、その後学芸出版社のご好意で使わせていただいた会議室に場所を移し、京町家作事組の梶山理事長から「作事組の仕組みと実践」を、京町家再生研究会の宗田理事からは「町家を活かす京都の都市再生」のお話を伺いました。
 建築士会は「建築士」資格を保持する個人により構成される会員12万人の社団法人です。まちづくり委員会は、これまで「まちづくり会議」や「まちづくり塾」など様々な事業を行ってまいりましたが、今年度から新たな企画として「まちづくりセミナー」をスタートしました。今回の京町家再生への関心は高く、セミナーには予想をはるかに越える54名の建築士が全国から集まりました。
 京町家の再生は、市民団体である「京町家再生研究会」が、調査研究、実験、情報発信、啓発を、専門家集団である「京町家作事組」が、再生技術の研究、再生理念の確立、再生工事をと、それぞれがその特性を活かし、見事な両輪となることで着実に進んでいるようです。これらの活動と、宗田先生が紹介された再生のまちづくりを支える都市制度の確立の動きは、今後の全国のまちづくりに取り組む建築士にとって強い刺激と元気を与えてくれました。
 「元に戻す」ことで都市が再生する。「再生」にこれほどの意味がある町、そしてその素材の宝庫、京都は本当に素晴らしい町でした。


2004.3.1