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はじめに京町家再生研究会京町家作事組京町家友の会京町家情報センター

2004年度11月〜2月 景観・まちづくり大学・後期講座案内
京都市景観・まちづくりセンターにおいて、京町家再生研究会の企画で開催された
「京町家再生セミナー」の記録です。

第6回 2/27 (日) 14:00〜16:00
「町家を直して暮らしやすく」
講師:建田良策氏(町家居住者・京町家作事組) 
    山田公子氏(町家居住者・京町家友の会)
コーディネーター:小島冨佐江氏(京町家再生研究会事務局長)


京町家再生セミナーの最終回が2月27日に開かれました。町家を引き継ぎ、改修し、そこに住まわれる建田良策氏と山田公子氏を講師にお招きし、コーディネーターは「京町家再生研究会」の小島冨佐江事務局長です。テーマは「町家を直して暮らしやしく」。基本に立ち戻り、しめくくりにふさわしいお話となりました。お二人からなぜ、町家を直そう思ったのか、直す人を探した経緯、そこで出合った人たちと関わりや以降のお付き合いのあり方、町家を直された結果と今の住まわれ方までお話をいただきました。

一度は建て替えや、マンション購入も考えられたお二人ともが、お母上のため、バリアフリーを目標に町家の改修に向かわれ、水周り他、使い勝手の向上と寒さ、暗さ対策が共通の課題となりました。

飛込みで京町家作事組を訪ね、改修を機に町家に住むという意識を得たという建田氏は自分でも町家を学び直し、改修して「とにかく落ち着く」そのよさが分かったと、町家の再生が、建物の再生だけではなく、暮らし方、文化の再生であることを述べられました。

山田氏は、従前の部分ごとの改修が必ずしもいいものではなかったため、東京から京都市役所、町センを経て、信頼に足る設計士に巡り合い、築140年の町家の構造補修まできっちりと伝統工法で行いながら、「どんな風に暮らしたいか」それを具体的に考えるところから改修が実現できたこと、そして今の暮らしの満足を語られました。

プライバシーは空間で作るものではなく人と人との関係で出来るもの、見えたり、見せたりで片付けも保たれること、町家には改修後も手入れは必然で、ただし出来ることは自分でする認識、伝統的な木造軸組構造に対しての信頼感もお二人に共通のものでした。

町家を上手に直し、住み継いでいくポイントとして、あれやこれやを入れようとするのではなく、今の状態を良くしていくこと、設計士や、大工、改修の中心になる人とは、きっちりと、何でもすぐに相談すること、かつての町家の暮らしに思いを馳せながら家族同士が分け合いながら住むことも挙げられました。

会場からの質疑に対しては、構造補強の考え方、設計士を入れることの良否、お金のかけ方の程度まで、基本的に誰の責任でもなく住み手の判断にゆだねられること、ただしその判断を急ぎすぎることなく、町家をつぶさずに大切に継承していく方向があることが繰り返されました。