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京町家情報センター
京町家に移り住んで──松重・嘉村邸

 今回は、学生達が複数で京町家を借りて住みながら、学生間の交流の場を提供している例をご紹介します。この日は嘉村さんがインタビューに答えてくれましたが、インタビューした側の学生達も、知っている名前が訪問者記録に数多くあったようで、興味深く話を聞いていました。
〈松井 薫(情報センター事務局長)〉


――町家に住まわれるきっかけはなんだったのでしょうか。
 ここに引っ越す以前は、私の下宿を「西海岸」と称して(鴨川の西にあったから)京都の大学生が交流する場として使っていました。下宿でそのような活動をしていたのは、いつも人が訪れてくれるためには、常に人がいる=住んでいることが必要だと思ったからです。しかし、その部屋では限界があると感じ、新しい場所を探していました。新しい場所を探すにあたって、昔からの日本の暮らしをしたいし、やはり京都に住んでいるのだからということで、町家を利用することができればと思ったんです。
 そこで不動産屋で探してみたのですが、「町家で学生のコミュニティをつくる」という希望に合う家が見つかりませんでした。その後に友達のつながりで京町家情報センターを紹介してもらい、この家と出会いました。
 この家は、3年は住めることが決まっているのですが、それ以降は、持ち主の方のご意向で、取り壊されてしまうかもしれないんです。3年たった後に、ここに住み続けたいと思う人が出てきてくれることを願って、今は色々な活動をしています。

――町家に住んで以前の生活と変わったことはありますか。

 まず、前と比べて時間がゆっくり進んでいると感じます。それと、体で季節を感じることができます。太陽の光が暖かかったり、床が冷たかったりと。あとは、季節ごとの料理をつくることでも季節を感じますね。夏は、庭で流しそうめんをしました。料理をして皆で集まっていると、話が膨らんでいって話題が生まれやすいし、コミュニティをつくるというのにもつながってきます。1階部分のこの部屋(こたつがある)でよく話し合いをするんですけど、会議室とかと違って、とげとげした雰囲気にならないと感じます。暖房器具がこたつと火鉢しかないので、みんながそこに自然と集まってきます。

――町家について不満に思うことはありますか。
 特にはないですね。夏もエアコンはほとんど使わずに過ごしました。今は、だんだん寒くなってきているんですけど、体が鍛えられて丈夫になりそうです。暖かい春が来るのが待ち遠しいです。
 強いて不満に思うことといえば、物干し台に日が当たらないことと、蚊が多いことですね(笑)。

――近所の人たちとのつきあいはどのようなものですか。
 以前学生マンションに住んでいた時は、隣人と顔を合わせても挨拶をするかどうか、という状況でした。でも、今はご近所の方と会うと挨拶を交わすのが自然になりました。この家に引越しをしてきた時に、学区長とご近所の方に西海岸の紹介と「よろしくお願いします」と挨拶周りに行きましたね。
 その後、ご近所の方を何名か西海岸にお呼びしました。最近では学区の運動会が開かれ、西海岸の住民と友人で5人参加しました。うれしかった事は私たちだけでなく、みなさんも喜んで下さったことですね。西海岸の性格上周りの方からの理解も必要ですが、その以前に地域に住む住民としてコミュニティーの形成をしたいと考えています。これからも地域の方と関われるように心がけたいですね。

――ありがとうございました。