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京町家情報センター
京町家に移り住んで──富樫邸

今回は、おそらく京町家情報センター始まって以来の最短記録(ユーザー登録から賃貸借契約、入居まで2ヶ月ほど)で町家に住むことになった、幸せな若いジャズベーシストの話を聞いてきました。

松井 薫(情報センター事務局長)

──決まるまで、早かったですね。
 早かったですね。ほんとにすぐ決めました。町家に住みたいと思って音楽仲間に話したところ、情報センターへ行けばいいと教えてもらいました。そこでそちらにいって相談したのですが、その時に2つの物件情報を教えてもらいましたが、まず始めにここに来て、中を見せてもらって、すぐにここだと決めました。2つ目の物件は見にも行きませんでした。なにしろここは、自分が思っていた条件にぴったりでしたし、探しているのが古い建物なので、ある程度手を加えないと住めないと覚悟していたのですが、初めて見たときに、これなら何も手を加えなくても普通に住める!と思い、即決しました。

富樫邸
富樫邸
──どうして町家に住みたいと思ったのですか。
 家は滋賀県だったのですが、本格的にジャズベースをやりだして、仕事でしばしば京都に来ることになり、行き来がけっこう大変なので、京都に住みたいと思いました。住むとなっても、アパートなどではベースの練習ができないだろうし、それにもともと日本的なものに興味を持っていましたので、住むのなら町家がいいなと思ってました。そんな時、音楽仲間が、情報センターを通じて町家を手に入れて住みだしたことを知り、これなら自分も住めるのじゃないか、と思い、情報センターを訪ねたというわけです。

──実際住んでみて半年ほどになるかと思うのですが、住み心地はいかがですか。
 いうことなし、です。場所も便利だし、大きさも十分あるし、風呂もあって、廻りをそんなに気にしないで練習もできる。家の前に大家さんのご好意で軽のクルマもおけるし。前の人がエアコンもつけてそのままおいてもらっているし。エアコンはまだほとんど使っていませんけどね。住んでみて思ったのですが、大きな通りに近いまちなかなのに、本当に静かです。最近気がついたのですが、今まで家にいるときは常にCDで音楽を聴いていたのが、ここへ来てからは何もかけなくても静かで落ち着いていられるのです。これは不思議ですね。実は今回がはじめての一人暮らしなのですが、近所のおばあさんとかにも、よくしてもらって、おかずを分けてもらったりしていて、とても助かっています。

──いうことなし、の中でもこれは予想外だったということは?
 うわさには聞いていましたが、冬は寒い。外よりも中のほうが寒いのは、予想外といえば予想外でした。滋賀の生家は普通の家でしたから、外は寒くても家の中はそんなに寒くなかったですから。もうひとつ、一人なので洗濯機はいらない、と思ってましたが、洗濯はけっこう大変なことがわかりました。洗うのも絞るのも干すのも。それと、時々大宴会場になるのですが、20人ぐらい入ってもまだ大きさには余裕があります。場所もいいし、スペースも大きいし、ひょっとしたらみんなの「溜まり場」になるのじゃないかと……。まあ、これは半分予想していましたけどね。

──ベースを弾く人は、なぜか物静かで顔立ちも哲学者のような風貌の人が多い気がしますが、彼もベーシストらしく、ぽつりぽつりと、でも楽しそうに答えてくれました。

2007.5.1