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京町家情報センター
京町家に移り住んで──H邸

──円町から少し入ったところにあるかわいらしい4件長屋の中の1件。持ち主さんから情報センターに相談を頂き、ちょうどその時期に情報センターのユーザーになられた岡山出身の若い方が気に入り、今年の6月末から暮らし始められました。暮らし始めて半年が経とうとしています。いかがお過ごしかお話しを伺いに行ってきました。
城 幸央(京町家情報センター)


──京町家に住むまでのいきさつをお聞かせ下さい
 大学生の頃は滋賀に住んでいて、京都には友達もたくさんいます。京都にもよく遊びに来ていて、京町家のお店なども見かけていて、そういうお店は落ち着くなぁという印象はありました。また、私のおばあちゃんちも古く、京町家のように自然な素材で出来た素朴な家は懐かしいなぁという思いも持っていました。京都に引っ越すことになり、マンションも探してはいましたが、京町家という選択肢もあるのかな、京町家にも住むことは出来るのかなとインターネットで調べていたところ、京町家情報センターのHPを見つけて話しを聞きに行きました。それから、すぐに京町家情報センターの城さんと3件の町家を見て回り、3件目に見たこの町家がお風呂はなかったのですが近所に銭湯が何件かあると聞きましたし、かわいらしく、十分に広く使えるし、お家賃が安く設定されていたので、気に入り即決しました。

──実際に住んでみていかがですか?マンション暮らしとの違いは何かありますか?
 やっぱり広く使えるというのが嬉しいです。掃除は大変ですが、ここにはこれを置こうなど、楽しんで暮らすことが出来ます。窓をあけると、すーっと風が入りますし、2階は光がたくさん入り、とても気持ちのいい時間を過ごすことが出来ます。クーラーが1台ついてはいるのですが、元々使わない方なのであまり使いませんでしたが、夏はやっぱり暑かったです。それから、マンション暮らしの時はそんなに思わなかったのですが、今年はたくさん蚊に刺されました。冬は今のところ、電気ストーブを使っています。夏も冬も暑かったり寒いはしますが、それは京都がそうなのであって、マンションで暮らしている時より体には健康的な暮らしをしていると感じます。お風呂もないので、回数券を買って銭湯通いをしていますが、広い湯船に足を伸ばして入れるし、体が芯から温まり、銭湯通いの生活もいいものだなと思います。
 マンション暮らしの時と比べて、暮らし方が変わったことによるものも十分にあるとは思いますが、町家での暮らしの方が気分がゆったりしていると思います。マンションで暮らしている時は分からなかったのですが、町家で自然素材に囲まれて、季節の変化を感じながら暮らしていると、気分もほぐれているように感じます。

──ご近所との付き合いはいかがですか?
 大家さんが良い方で良かったです。自分が住みやすいようにしてくれていいよと言って頂いていて、大家さんに相談しながら自分で壁をちょっと塗らせて頂いたり、使いやすいように少しづつ家を触らせて頂いています。
 ご近所さんも皆さんよくして下さいます。引越ししてきた日には、ゴミ出しの曜日や場所などをすぐに教えに来て下さいましたし、町内会にも入らせて頂きました。地蔵盆にも誘って頂いたのですが、残念ながら用事で参加できませんでした。また次を楽しみにしています。毎日顔を合わせたときに交わす挨拶、回覧板が回ってきたり、お裾分けを頂いたり、火の用心の拍子木の音が聞こえてきたり……、何だかご近所の皆さんで皆を見守っているようで、安心感があるなぁと感じます。マンション暮らしではこのような交流はあまりなく、思いもしませんでしたが、昔から町内で行われている行事での交流や、回覧板や火の用心の拍子木の音などが、直接的ではないけれども、何だか安心感を与えてくれていて大切なことだというのを感じました。
 これから、この町家にいつまで住めるかは分かりませんが、このようなご近所さんとの交流も大切に感じながら、暮らしていきたいと思っています。

2012.1.1