聞き手:株式会社都ハウジング 岡本秀巳
――京町家に住まれるきっかけは? 引っ越し先はできれば町家が良いなと思っていましたが、町家はリフォーム代も考えると高くて、あきらめそうになっていたところ、「古家付き」として売り出されていた町家を紹介して頂きました。改修プランと大まかな見積もりを作ってもらい、イメージがぴったりだったので、すぐに決めました。 ――実際の住み心地はどうですか? 床下などはかなり傷んでいましたが、耐震改修をしたので今は安心です。90万円の耐震改修助成の他、耐震診断士の派遣や京都府産の木材の助成も受けました。畳の部屋がほとんどですが、京都府産の杉のフローリングもとても心地いいです。 改修工事では,職人さんも,「さら(新品)にした方が簡単やってわかってるんやけど」と言いながら,古い建具を根気よく調整してもらったり,階段の手すりも新しいデザインを取り入れながら丈夫にしてもらったり,土壁等も、古いものを本当に大切に直してもらいました。職人さんの手間がいろんなところに感じられることがとても気に入っています。
以前の住宅には収納をたくさん造り、たくさん物を詰め込んでいましたが、町家では、できるだけシンプルに大切に住んで、次の人に住み継ごうという意識になります。この町家を守ってこられたKさんにも感謝し,関わっていただいたみなさまにも,そういうご縁にも感謝する気持ちが生まれました。新築よりも家やものを大切にする気持ちが強くなるような気がします。 ――路地での暮らしはいかがですか? 南北が狭い路地に接していて人の気配がすぐにわかり、風通しもとてもよいです。親には「火事になったら消防車も入れへんし、いっぺんに燃え広がりそうやなぁ」と心配されましたが、町内では交代で火の用心に回っておられます。私も当番が回ってきましたが、みんなで気をつけるという意識が京都らしいなと思います。 ――町家暮らしをアピールするならどんな点ですか? 古い町家でもいろんな制度を使ってしっかり直せば、新築よりもずっとお得にまちなかで快適に暮らせます。町家は景観のために残すというよりも,町家の住み心地や暮らしの質のような点で、もっと良さを知ってもらって,大切に残す人が増えてほしいなと思いました。そのために,私ができることからやっていきたいと思います。 2013.11.1
|