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京町家情報センター
京町家に移り住んで──モモのうち


 東京から京都へ引っ越してこられ、京町家での生活を始められました。このお宅は、シェアハウスとしても活用されています。お話を伺ってきました。

聞き手:エステイト信 井上信行


――なぜ、京都に移り住もうと思われましたか?
 母を病で亡くした8年くらい前から、「年老いても自力で生活できる態勢を用意しておかないと。そのためには、徒歩圏に病院や公共交通機関などが整っていることが必須だ」と考えていました。同じころに、京都で京町家に出会い、伝統構法の日本の家の美しさに感動し、これからの日本の住居はこれだと直感しました。しかも、京都市街地に所在する京町家であれば、生活至便な地域(しかもそれが長続きしそう)という条件も充足する、と、「老後は京都市街にある京町家に住む」と決めた次第です。幸運にも条件に適う物件がみつかり、改修工事を経て、昨夏、東京から京都に移ってまいりました。

――改修に参加されたようでしたがいかがでした?
 設計士さんや工務店の方々のご配慮で、壁こそぎ、木舞掻き、三和土、の作業に参加しました。材料は、自然のものばかり、木と竹と土と石でてきている京町家を体感することができたのは、貴重な経験でした。また、根継ぎや一つ石の様子など、町家のしくみを実際に見ることができたことで、伝統構法の家の価値の理解につながり、より家への愛着が深まったと思います。ただ、改修工事の時点では住み心地への想像力が足りなかったことは否定できず、住み始めてからエアコンを取り付けるなど、最小限にしなければと意識しつつ、快適さとの折り合いを試行錯誤しているところです。又、今後の維持管理は、可能な限り主体的に行っていきたいと考えています。

――引っ越されて住み心地は?ご近所さん等暮らしぶりはいかがですか?
 住み心地は一言で言って「快適」です。湿気を吸い取ってくれ、しかも蓄熱性のある土壁や、夏でもひんやりの三和土、風通しのよい部屋、等々、従来住んでいた現代型住宅(パネルやコンクリート)とは段違いで、日本の気候に一番適しているのは木と土でできた家、と確信する今日このごろです。運がよかったのか、ご近所さんには恵まれています。とても仲の良い町内で、地蔵盆、懇親会など自然に仲間に加えてくださり、京都での暮らしで気をつけなければならないことを教えてくださいます。また、実は、一人で住むにはちょっと広い家なので、小規模ですが女性専用のシェアハウスを始めました。今は、アメリカ人の女性1名が入居者で彼女と一緒に京町家暮らしを楽しんでいます(京町家シェアハウス モモのうち、HP:http://momonouchi.main.jp)。先日、東京の知り合いと会う機会がありましたが、「京都に移って本当によかったね」と言ってくださり、私もまさにそう思っているところです。

2014.1.1