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京町家情報センター
京町家に移り住んで──岩本邸

 今回は、上京区にあるお宅。近所には山中油さんなどがあり、町家もまだまだ多く残る地域。ある路地の中の町家にお住いで、今でも住みながらちょこちょこと自分で手直しをしながら暮らしを楽しまれているようです。お話をお聞きしてきました。
<聞き手:京町家情報センター 城幸央>

ーー1、この町家に住むことになったいきさつは?
 私は建築専門学校の卒業生なのですが、在学中に学校にこの町家の大家さんが改修の相談に来られ、それから学校の学生たちで改修作業を始めたのが始まりです。最初は、別の2人の学生が改修しながら住んでいたのですが、彼らが卒業してこの町家が空いてしまうことになり、ちょうど一人暮らしを始めようと考えていた私が引き継ぎ住むことになりました。

ーー2、土壁も自分で塗ったそうですね。
 構造改修については、建築専門学校の先生が監理され学生のメンバーで傷んだ部材の入れ替えやあげまいなどはやりました。私が住み始めてからは、新たに土壁を自分で塗り直したり、解体するところから貰ってきた建具を調整して入れたりしました。
 今では、この家をいじっている経験、大工さんや左官屋さんの手伝いを仕事でやっている経験から、個人的に左官工事の相談を受けることもあり、友人の家や店舗のちょっとした改修やゲストハウスにする改修のお手伝いをしています。

ーー3、実際の住み心地はどうですか?
 私が住み始めて3年ほどが経ちましたが、その間には3人が入れ替わりでシェアしていたこともありました。エアコンはないので、やっぱり夏は暑いですし、冬は寒いです。近所の方が、寒いだろうとホットカーペットをくれたり、家にあるタンスやソファー・テーブルなどの家具も友人などから貰ったものですし、だんだんと快適な暮らしになってきています。今はシャワーしかないですが、しっかりと疲れを取りたい時には近所の銭湯に通って温まっています。

ーー4、ご近所との関わりはいかがですか?
 普段の町の役は参加できていないですが、地蔵盆には毎年呼んでいただいて参加しています。朝から準備を皆さんでやってワイワイと楽しんでいます。やっぱりこの町内も若者は少なく重宝していただいているようです。毎年、地蔵盆の時に撮る町内の皆さんとの集合写真が楽しみの一つでもあります。また、近所のおじさんと顔を合わせた時には、いつも近所をうろついている野良猫の話しをするのですが、その不思議な関係も何だか心地よいものだなと思います。
2015.11.1