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京町家情報センター
町家探しのチェックポイント

エステイト信 井上信行 

今回は大宮姉小路に古くからあり、以前お薬屋さんをされておりました由緒ある京町家。100年以上の建物。大黒柱を修繕する際に、棟上げされた時の記録があり、建築された時のことが書かれていたそうです。ご主人は8代目となり家督を継がれてまいりました。今回は奥様がお嫁に来られた時の感想・様子から、現在に至るお住まいについてお伺いしてまいりました。

1. 自分のライフスタイルにあうエリアを選べ
 市内でも上京区、下京区など京都人の暮すコアなエリアと北区、左京区などの郊外エリアとでは住民のライフスタイルが異なります。また、同じコアなエリアでも上京と下京では住民の暮らし方が異なります。エリア選択を誤ると移住者・地元住民お互いどちらにとってもいいことはありません。異論はあるでしょうけれど、地元、京都人として、私は、この点が最も重要だと考えます。当店では、地域貢献型の仲介をポリシーとしているので、すべての方ではないですが、他府県から来た来店客の方には、この点1時間程度はレクチャーさせてもらうこともあります。

2. 物件内覧は雨の日にせよ
 当たり前のことですが、晴れの日だと気が付かないことがいろいろわかります。雨漏りがしているかとか、庭からの雨水が床下から浸透して、柱の足元や土台や壁に濡れ染みが生じている、樋が落ち葉や雨水泥で詰まって良好に排 水できていない、といったことが気づきやすいです。

3. 上部(天井、軒下、屋根)を見落とすな
 皆さん案外建物の上部は見ません。業者さんでも見ない方結構おられます。前記2.とも関連しますが、天井は、雨染みがないか、天井板に反りがないか、竿が湾曲してないか、などチェックします。垂れ壁(小壁)が痩せて下がってきていないかも大事です。
 屋根は、もちろん瓦の状態がどうか、まっすぐに並んでいるか、波打ってないか、樋は大丈夫か、軒裏の垂木は、湾曲してお辞儀してないか、などチェックします。また、テレビアンテナの有無や設置状況(特に越境物かどうか)などもみます。
 また、連棟の町家であれば、電気配線が隣家の軒裏を経由してきていることが、ままあります。

4. ライフラインのチェック
 電気容量や配電盤の有無。屋内配線の確認。屋外からの配線引き込み経路の確認。
 上下水道については、埋設管の確認が重要です。上水道配管は、鉄管や鉛管であることが多く、下水管も陶管(土管)であることが多いです。汚水桝も陥没していることがよくあります。ガスはあまり問題になったことはありませんが、ガス漏れしていたことが一度だけありました。

5. 物件探しは最後にすべし
 町家を借りるにせよ、購入するにせよ、資金計画を含めた事業計画を立てたうえで、最後にするのが物件探しです。計画も曖昧なまま物件探しをすることは、いい物件が見つかっても結局物件を借りる、または買うことができず、後悔だけが残ります。我々業者にとっても迷惑な話です。幾百人とそんな方を見ています。


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 本来、作事組さんに書いてもらえばいいようなことも、いろいろ書きましたが、不動産業者としても、これぐらいは少なくともチェックしないと賃貸であれ、売買であれ、取引はできません。皆さんの町家探しに少しでもお役に立てば幸いです。