9月例会報告 「京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例」 (建築基準法3条の適用除外)に関する研究会 その3 「町家耐震の勘所をおさえる−基準法を越えた町家再生の道筋」 日時 9月15日(日)14時から17時 場所 釜座町町家 講師 田渕敦士(京都府立大学准教授) 今年度例会では、3条条例適用除外に関連した勉強会を継続的におこなっています。今回は7月例会で貴重なご意見を述べられた田渕敦士先生をお迎えして、木造の構造に対する考え方を中心にじっくりとお話ししていただきました。構造の勉強会は、数値やグラフ、専門的な言葉が多く、なかなか手強いことが多いのですが、2時間を超えるお話にひきこまれました。田渕先生の若い頃の素朴な疑問や経験などが随所に語られたこともありますが、そもそも建築基準法はどのような背景で生まれたのか、というように、考え方の基本から読み解いていただき、「勘所と道筋」が明らかになった、大変わかりやすいお話でした。 建築基準法については、時代背景や制度としての問題だけではなく、「最低」基準をどのようにとらえるのか、という問題があります。また、大きな災害が起きるたびに検討される法制度ですが、次々と改正されることに追随するあり方にも問題があることもよくわかりました。 地震に対する合理的な考え方、木質の耐力をどのようにとらえるのか、実験データや木材市場の現場など幅広い観点から丁寧な説明もありました。また、新しい手法なども披露されましたが、あくまでも手助けの一つ、という考え方もよくわかりました。 数値や技術革新にふりまわされることなく、新しい手法に甘んじることなく、町家再生にとって大切なこと、何を守るべきかをよく検討した上で、町家再生にとっての「最低」基準を作っていく必要性がわかりました。これまで抱えていた疑問や不安などの問題点を明らかになり、気分的にすっきりした聴衆も多かったようです。これからは、一般のみなさまにもわかりやすく伝え、議論を展開する必要があるでしょう。市民のみなさまと共通理解がもてるような機会をいずれ設けたいと考えています。 詳細は論考をご覧ください |
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