![]() ![]() ※「京の菓子暦」は、平成14年(〜15年)の取材記事です。
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遠方からのお客さまを迎える日は、必ず季節の和菓子を用意するようにしています。見て美しく、あるいは愛らしく、食して美味しく、そのうえ季節ごとの理にかなった材料が用いられていたりいたします。また、時代の先端を行く保存方法がとられていて驚くことも・・・・。和菓子は京都人の毎日の暮らしに密接に結びつき、生活と心を豊かにしてくれています。毎月のお菓子を紹介しながら、その奥にある京都の知恵と文化を探れたらと思います。![]() |
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![]() 夏のお茶席用の生菓子です。「吉野くず」を一度練って、蒸してから焼きます。小豆をちょっと散らしてあります。 |
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◆くず湯![]() ※ 他にも「くず」を使ったお菓子には、「くずまんじゅう」「くずきり」などがあります。 夏に「くず」を用いたお菓子が多いのは、 (1) 透明感があって見た目が涼しげである (2) つるんとした舌触りとのどごしが良い (3) でんぷん質でカロリーが高く食欲のない夏に栄養がとれる (4)「葛根湯」という漢方薬になるくらいなので体に良い、などの理由が考えられます。 ※ 「くず」は、山に自生している植物で、お菓子のほか漢方薬や紙などに用いられます。上等のお菓子には「吉野くず」を用います。材料としての「吉野くず」は、乾燥しているので日持ちが良く、必要なその時々に出して使えます。 ※ 「くず」に似た家庭で一般に使う「かたくり粉」は、昔は実際に「かたくり」の根から採取したようですが、最近は主に馬鈴薯のでんぷんを使うことが多いようです。 |
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![]() わらびの根を乾燥させた「本わらび粉」を使ってつくります。よ〜く冷やして、きな粉をまぶし、その上から黒蜜をかけます。きな粉は蛋白質の補充に、黒蜜はカロリー補給になるようです。最近は風味に変化を持たせるためにニッキや抹茶風味のきな粉をまぶしてるとこもあるようです。京都では昔からおなじみの「わらびもち」ですが、東京では、くずを使った「くず餅」を同様にきな粉をまぶし黒蜜をかけていただくようです。 |
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◆懐中しるこ 「おしるこ」といえば冬のもののように思いますが、食欲のなくなる夏にこそ、小豆を食べると良いといわれています。小豆には「サポニン」が含有されていて、利尿作用があり、体のむくみをとります。「懐中しるこ」は日持ちがする上、このままどこにでも携帯出来ます。お湯さえ注げばOKですから、これこそがインスタント食品のはしりではないでしょうか。
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協力:大極殿本舗・六角店「栖園」 京都市中京区六角通高倉東入る南側 |
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